「マイナンバー」通知スタート 受け取りを拒否したらどうなるの?
受け取らなくても「番号」は消えない
では、国民はこのマイナンバー通知を拒否することはできるのか? 10月から始まったマイナンバーの通知は、市区町村から郵便の「簡易書留」によって行われる。通知は、家族分まとめて世帯主あてに届く。不在の場合は1週間以内に郵便局に取りに行くか、再配達してもらう。そこで受け取られなかった通知は、住所地の市区町村に返送され、役所内で保管されるという。 これを無視し続けると、どうなるのか? そもそもマイナンバーは、本人の意思にかかわわらず、10月5日時点の住民票コードを元にして、コンピューターで自動的にすべての日本国内在住者の番号が生成される。たとえ通知が返送されても、その人のマイナンバーが消えるわけではない。
医療保険や年金給付、会社に提示する必要
では、自らに割り振られたマイナンバーを知らないままの人は、今後どのような不利益を被るのだろうか。 2016年1月から、社会保障・税などの手続きの際、マイナンバーの提示を求められるようになる。自己への直接的なメリットが乏しい納税や住民登録はともかく、雇用保険や医療保険、年金、生活保護、児童手当など福祉の給付といった場面で、マイナンバーを提示できなければ、かなりの面倒や不利益を強いられることが予想される。 また、企業などに勤める従業員は、会社へのマイナンバーの提出が義務づけられる。納税や社会保険で必要なためだ。内閣官房サイトの「よくある質問」には、「従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか? 」との質問がある。これに対し、回答では「マイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください」としている。勤め人がマイナンバーを拒否すれば、会社の総務担当者を困らせることになる。 結局、本人がマイナンバーを受け取ろうが拒否しようが、番号は割り振られている事実は変わりがない。そして本人の意思に関わらず、社会はマイナンバーを前提とした仕組みの整備が進み、外堀はどんどん埋められていくだろう。法的な縛りがある以上、たとえマイナンバーの通知を拒否しただけでは、「制度を終わらせる」ことは現実的に難しい。本当に国の制度を変えたいのなら、国政選挙で声を上げるのが正道ということだろう。 (記者・メディアコンサルタント/坂本宗之祐)