珍田タクシー(青森市)が破産 “県内最古”の老舗 従業員全員解雇、負債2億円超
青森市の老舗タクシー会社・新興自動車珍田タクシー(珍田裕之社長)が11日までに事業を停止し、青森地裁から破産開始決定を受けた。従業員は全員解雇された。負債総額は精査中だが、2億円以上とみられる。信用調査会社の東京商工リサーチ、帝国データバンク両青森支店によると、新型コロナウイルス禍で売り上げが大きく落ち込み、燃料高やドライバー不足も重なって赤字経営が続いていた。 事業停止は7日付、破産開始決定は8日付。代理人は森雄亮弁護士(青森市)が務め、破産管財人には石岡隆司弁護士(同)が選任された。両支店によると、2023年3月期現在の従業員数は45人、保有車両数は約50台。 珍田タクシーは1931年に開業した堤タクシーを前身とし、52年に現社名で法人化した。現存のタクシー会社としては県内で最も古いとされる。無線配車営業や「デジタルGPS自動配車無線」を地域内でいち早く取り入れ、ピーク時の97年3月期には6億2千万円の年売上高を計上した。 その後は、同業他社との競争激化や地域の人口減少などに伴って減収基調をたどった。新型コロナ禍での外出自粛、飲食店の休業・時短営業が相次ぎ、売り上げがさらに減少。コロナ禍明けで観光客などの利用が戻り、近年の収入は改善傾向にあったが、燃料費や人件費などの固定費上昇、ドライバー不足による稼働率の低下などが収益を圧迫し、資金繰りが限界に達した。