（ブルームバーグ）： 中国の９月の輸出は予想を大きく下回る伸びにとどまった。減速する中国経済にあって輸出の回復はこれまで明るい材料だったが、ブレーキがかかった。

税関総署が14日発表した９月の輸出は前年同月比で2.4％増。輸出額は約3040億ドル（約45兆4200億円）と、今年５月以来の低水準だった。

日本や韓国、台湾などへの輸出は減少し、欧州連合（ＥＵ）と米国向けは少なくとも４カ月ぶりの小幅増加にとどまった。

一方、ロシア向けは過去最高の110億ドルに急増。自動車から携帯端末まで西側のあらゆる製造業が制裁のためロシアを撤退した後の空白を中国が引き続き埋め、ロシアを経済的な孤立から守っている。

ピンポイント・アセット・マネジメントの社長兼チーフエコノミストの張智威氏は、「中国の輸出は年初から力強い成長を続け、弱い内需を打ち消す助けとなっていた」と指摘。「ただ今後は、来年にかけて輸出の強い伸びを持続するのは難しいだろう。貿易を巡る緊張の高まりが背景にある」と続けた。

中国の輸出は１－９月の金額ベースで過去２番目の高水準に上り、経済成長をけん引。一方、内需は低調で外国製品に対する購入意欲も弱く、貿易黒字は過去最大級に膨らんでいる。

この問題を象徴するように、９月の輸入はわずか0.3％増。貿易収支は単月で817億1000万ドル、１－９月で6900億ドルに達した。市場予想は輸出が６％増、輸入が0.8％増だった。

不動産の低迷で消費者景況感が冷え込む中国は、経済成長を製造業と輸出に依存。世界の需要が比較的堅調を保っているため、この２速モデルは今のところ機能しているものの、安価な中国製品の大量の流入に不満を抱く諸外国は貿易障壁を引き上げており、成長の持続可能性に黄信号がともっている。

不動産市場の冷え込みで打撃を受けた中国鉄鋼業界は輸出に活路を見いだそうとし、９月の鋼材輸出は数量ベースで2016年半ば以来の高水準を付けた。