土に混ぜて保水 100%自然由来のポリマーが農業を変える「水不足の課題を科学で解決」
水不足で悩むインドのために、沖縄で研究に励む、インド出身の男性がいる。男性が開発したのは、粉末状の資材に水分を保有させる特殊なポリマー。土壌に混ぜることができるよう開発されたことから、農業に革命を起こすと期待されている。その名もEco Friendlyの頭文字を取って「EFポリマー」。いったいどんなものなのか。開発・普及に取り組む男性の思いを聞いた。(RBC NEWS Link 「つなごう沖縄」6月13日放送回) 【写真を見る】土に混ぜて保水 100%自然由来のポリマーが農業を変える「水不足の課題を科学で解決」 ■世界各地で深刻な「水不足」問題 地球温暖化などの影響で、世界で干ばつが深刻化している。十分な水を得られず、農業に大きな影響が出るなど危機的状況に陥った地域もある。 この問題を解決しようと沖縄でベンチャー企業を立ち上げたのが、インド出身のナラヤン・ラル・ガルジャールさん。 ▽EFポリマー代表取締役 ナラヤン・ラル・ガルジャール 「私たちが開発したのが、100%オーガニックでしかもバイオディグレーダブル 土に還る素材ですね。成分が完全成分解性のポリマーというものを開発しました」 EFポリマー開発のきっかけは、父親の農業を助けたいという思いからだったという。 ▽EFポリマー代表取締役 ナラヤン・ラル・ガルジャール 「私の生まれ育ちはラジャスタン州というインドの非常に乾燥した地帯で、水不足の厳しい深刻な地域で生まれ育ちました。とても小さな村で、ほとんどの人が農業で生計を立てています。私の父も農家です」 ほぼ自給自足の生活をする村では、水不足で作物が枯れてしまうことに悩まされていた。ナラヤンさんは科学でこの問題を解決するため、インドの大学で農業工学を学んだ。 ■水不足が深刻な土地で育ち 水を有効活用する素材研究の道に そして、支援が充実していた沖縄科学技術大学院大学のプログラムに応募。見事採用され、日本で研究を続けEFポリマーを完成さた。 従来のポリマーは、石油などを化学的に合成していて、土に混ぜることはできなかった。しかし、ナラヤンさんが開発した「EFポリマー」は、オレンジの皮など従来捨てられていた原料を活用して作られた100%オーガニックなポリマー。 畑にまいても時間がたてば土に還る素材だといい、現在インドと日本を拠点に事業を推進している。 ポリマーは最初は粉末状の資材だが、水分を吸うとゼリー状に膨らむ。水分を長く保持することができるため、農作物を育てる土の中にポリマーを混ぜ込んでおけば、雨を吸水し作物が枯れるのを防ぐことが期待できる。