夜間に子どもの悲鳴のような鳴き声…ルポ!7万頭大量発生キョンが泳いで東京へ「衝撃の繁殖現場」写真
さらに気になるのは、キョンが都内23区へ来ることだ。千葉から江戸川を渡れば東京都葛飾区。茨城からも利根川と江戸川を渡り、川沿いに南下すれば都内だ。よく聞くのは、キョンは泳げないため川を渡る可能性が低いという噂。だが、泳ぐキョンは実際に目撃されているのだ。 勝浦市でマリンスポーツサービスを提供する「マリブポイント」の従業員が話す。 「積極的ではありませんが、必要に迫られればキョンも泳ぐんです。勝浦では崖から落ちたり、動物に追われたりして海に飛び込んだキョンが泳いでいるのを見ることがあります。今年秋にも、太平洋の沖合350mを泳ぐキョンを岸に向かって誘導してレスキューしました」 泳げるなら都内への移動も現実味を帯びてくる。年間300頭以上のキョンを捕獲してジビエ肉として販売するなどその生態に詳しい猟師工房(君津市)の原田祐介代表は、東京へ移動する可能性をこう指摘する。 「キョンは犬かきのようにして泳ぎます。冒険心の強い若いオスは、縄張りを求めて移動します。千葉の江戸川沿いを移動中に犬などに追いかけられたら驚いて川に飛び込み、そのまま東京側の川岸まで渡っても何ら不思議ではありません。草むらが多く餌も見つけやすい川岸は動物が生息しやすい場所。そこから都内に定住する可能性はあります」 現在、キョンが生息するのは千葉と伊豆大島だけといわれる。だが、かつて動物の管理が甘かった時代にキョンを飼育していた動物園は全国に点在し、それらの地域の山中で鳴き声を聞いたとの情報もある。人間によって連れてこられたキョンに責任はないが、すでに日本全体で問題になりつつあるのだ。 取材・文・撮影:形山昌由 ジャーナリスト
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