元巨人スカウト部長が語るドラフト会議の裏側「坂本勇人を最初から1位指名するのは不安だった」
巨人・岡本の打撃に衝撃「中村紀より総合力は上」
――巨人のドラフト1位では岡本 和真内野手(智弁学園)も後にチームの中心選手となりましたが、長谷川監督は当時の岡本選手をどう見ていましたか? 長谷川監督 原監督が「岡本君は将来的にホームラン30本打てるのか、打てないのか」と聞いたら、担当していた渡辺 政仁スカウトは「必ず打てます」と言ったので1位に決めました。 彼がU-18アジア選手権で木製バットを使って打った打球を見て、「右打者であれだけ逆方向に強い打球を遠くに飛ばせるっていうのは、毎年出てくるバッターじゃないと確信した」と渡辺スカウトから聞きました。 ――長谷川監督から見た岡本の選手の印象はどうでしたか? 長谷川監督 甲子園でバックスクリーンの横に凄いホームランも打ちましたし、ピッチャーでも強いボールを投げていました。僕は中村 紀洋内野手(渋谷)の高校時代の試合を大洋ホエールズのスカウト時代に見に行きましたが、岡本の方が総合的には上なのかなって思いました。投げる力もそうですし、体のパーツ全体が岡本の方大きいですからね。 ――2014年のドラフトでは山﨑 康晃投手(帝京―亜細亜大)だったり、有原 航平投手(広陵―早稲田大)だったり、即戦力投手がいる中で岡本選手の指名に踏み切ったというのは和製大砲を作り上げたいという思いが強かったんですか? 長谷川監督 それは原監督の一存です。ジャイアンツには右バッターで本塁打30本打てる選手が絶対必要だっていう強い信念がありました。 ――投手を1位で指名して岡本選手を2位で取るという考えは無かったんですね。 長谷川監督 1位で投手を指名して、その間に岡本選手を指名されるリスクを考えて、初回入札に踏み切ったということです。彼は関西の選手だったし、巨人の場合はセ・リーグ1位で2巡目は遠くなるわけなので、1番可能性があって1番チームに必要なポジションだと判断して1位で指名したというところです。 岡本の前には私の後輩にあたる大田 泰示外野手(東海大相模―東海大)を獲ったのですが伸び悩んで……。日本ハムさんに行って花開きましたね。彼も非常に頑張ったんですけど、巨人というのは色々な形で周りからの目線もありますし、締め付けもあって選手にはプレッシャーがあったと思います。主力に育った岡本選手の努力はやっぱり大きいです。