白洲迅の存在が物語のキーとなる? 『君が心をくれたから』永野芽郁を支える重要な役割
とうとう味覚だけでなく嗅覚も失ってしまった雨(永野芽郁)。『君が心をくれたから』(フジテレビ系)で、五感を失いつつある雨にとって非常に重要な存在となるのが白洲迅演じる望田司だ。 【写真】『君が心をくれたから』永野芽郁インタビューカット 長崎市役所で働く司(白洲迅)はこれまでも雨のよき相談相手であり、アルバイトを世話するなどして人知れず雨を支えてきた。とうとう第3話のラストでは泣いている雨をそっと優しく抱きしめる。そんな司はこの物語の中で雨がはじめて「五感を失う」ことを打ち明けられた人物でもある。そして第4話からは司の存在が物語のキーとなってくるだろう。 白洲は舞台『ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン』でデビューしたのち、2013年に『押忍!!ふんどし部!』(テレビ神奈川)でドラマ初主演を飾る。その後、『ごめんね青春!』(TBS系)や『学校のカイダン』(日本テレビ系)に出演し、着々とキャリアを積み上げてきた。昨今は毎クールのように連続ドラマ出演を果たし、様々なドラマで引っ張りだこの存在だ。 『大病院占拠』(日本テレビ系)では主演・櫻井翔の敵役の一人、紫鬼/相模俊介役や、『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)の宇田桃葉役、『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系)の浜村宰役などでドラマを大いに盛り上げてくれている。そして筆者が忘れられないのが、ABEMAのドラマ『ANIMALS‐アニマルズ‐』での、鈴木愛理演じるヒロインに想いを寄せるベンチャー化粧品企業の社長・榊圭祐役だ。この役は“みんなの憧れの存在”というだけあって、白洲の輝くイケメンぶりが最大限に発揮されていたように思う。 白洲には“ほっとけない”魅力があり、どんな役を演じていても、つい目が吸い寄せられてしまう俳優だ。きちんとしたしっかり者から、うっかりさんな可愛らしい一面まで、どんな芝居でもどこか惹きつけられてしまう。そうした中で、『君が心をくれたから』での爽やかな好青年ぶりは、まさに白洲の王道の魅力を味わっている気持ちになる。 本作での司は、優しく、真っ直ぐに雨を想う。包み込むような眼差しや、そっと手を差し伸べてくれる頼もしさがあることから、司が登場するとついホッとしてしまう。太陽に嫌われるために、わざわざ司と恋仲になるふりをする雨を受け入れる包容力の高さ。それでいて最後には、太陽と観覧車に乗るべきと雨の背中を押すなど、司もまた涙が溢れそうなほど心優しい人物なのだ。“過酷な奇跡”が進行するごとに、雨にはできないことが増え、言えないことが増えていく。そんな中で、雨にとって唯一弱みを見せられる司は重要な役割を担うだろう。好きな人だからこそ言えない気持ちがある。そんな誰もが経験したことがある繊細なシチュエーションで、雨を支えてくれるのが司なのだ。 日下(斎藤工)の「五感を失ったあと、あなたは24時間365日介護が必要になるでしょう。そのときどうするのか、今のうちに考えておくべきです」という、あまりにずっしり響く言葉に、今後の展開も甘いものばかりでないことが予想される本作。それでも雨と太陽、そして司が優しく紡ぐ思いやりと愛の輪は、じんわりと『君が心をくれたから』の世界を彩ってくれるだろう。まるで雫に滲む水彩絵の具のような優しいドラマを、最後まで見守りたい。
Nana Numoto