「ししゃも」みたいと言われた女性が「桃尻ボディ」へ BMI15の「痩せすぎ」を筋トレ・食トレで脱却【筋トレビフォーアフター】
ボディメイクに悩むのは太った人ばかりではない。食べても食べても不健康に痩せていく。今回はそんな虚弱体質を筋トレと食トレで克服し、健康な身体を手に入れた女性を紹介したい。 【写真】垂れたお尻が桃尻に 山王綾さんの健康的なバルクアップ全身フォト
「私は胃下垂で、痩せているのに食べる量はとても多かったです。ラーメンやパスタは必ず大盛り、脂質や糖質のコントロールもしたことがなく、何よりも食べるスピードがとても早かったです。これは全く良いことではなく、すぐに体調を崩し、疲れやすく、歳を重ねるごとに貧相に見えていくのが嫌でトレーニングを始めました」 山王綾(やまおう・あや/35)さんがジム通いを始めたとき、周囲は「なぜ痩せてるのにジムに行っているのか」と不思議がった。しかし、当時の体型は161cmで40kg。BMIは15.43(※)とWHO(世界保健機構)の「痩せすぎ」基準である18.5未満を下回る低体重である。3カ月に1回のペースで扁桃腺を腫らしては風邪をひく、常に翌日に疲れを持ち越して毎朝起きるのが辛いなど、山王さんの悩みは切実だった。痩せていること=美しいとされる風潮のなかで、理解されないことも辛かったという。※30代、身長161cmの女性平均BMIは21~22 「トレーニングを始めて、まずは重量をちゃんと挙げられる体重にならねばと思い、白米の量を毎食100g増やしました。糖質とたんぱく質を意識した食事に変え、早食いをやめてちゃんと消化されるようによく噛んで食べることを意識しました」 週に1回のパーソナルでトレーニングと栄養学を学び、自主的に週に3日ジム通いをした。山王さんはシングルマザーでダブルワークを担っている。仕事を終えてから子どもの塾への送り迎えの合間にジムへ行くという朝から晩まで動きっぱなしの生活は、「慣れるまでは本当にキツかった」と振り返る。それでも負けずに頑張り続けられたのは娘の存在だった。 「本格的に火がついたのは、娘の中学受験でした。娘がすごく頑張ってる姿を見て、私も一緒に頑張りたいと思いました。合格したときは2人で抱き合って喜びましたし、休日など休みたい気持ちになるときも『ここでやらなきゃいつやるんだ』と自分に鞭を打ってジムに足を運び、毎回2時間ほどトレーニングし続けています」 変化は着実に現れた。食事改善とトレーニングをはじめて程なく、不調ばかりだった身体に力がみなぎり、精神的にも肉体的にも元気に過ごせる日が増えた。「ししゃもみたい」と言われていた体型も変わった。現在、体重49kgと健康的な増量を遂げたなか、最も変化したのは下半身だ。 「産後垂れてしまったお尻が、桃尻になりました。初めは自重でも辛かったブルガリアンスクワットを、今では片手12kgのダンベルを2つ待ち行ってます。ヒップスラストは100kg挙がるようになりました。太腿にも筋肉がつき、ただ細かった脚がメリハリあるラインになりました」 そして、虚弱克服から始めたボディメイクは健康的な身体という目標を経て、自己実現へと進化している。 「トレーニングを始めたころからの憧れである、ビキニ選手の長瀬陽子さんのようになりたいという目標があります。先日、マッスルゲート茨城に初挑戦し、ウーマンズレギンスフィットネスで4位、ウーマンズレギンスでは惜しくも2位でした。この結果は自分のなかではまだまだで、ご活躍されている選手の皆様を日頃から拝見させていただき、日々精進します。長瀬さんにポージング指導を受けさせていただいたことでより目標が高まり、今後はビキニやフィットモデルの挑戦も視野にいれています」
「自分の発信で、痩せていることが悩みでジム通いをすることに迷っている方の後押しになれば、そして、ただ痩せていることが美しさではないという価値観が少しでも広まればうれしいです」 フィットネス文化が広がるなかでも、日本の女性の痩せ信仰は根強い。しかし、適切な筋肉や脂肪は敵ではなく、年齢問わず張りと活力のある美しい身体を作る上で強い味方になるという好例を山王さんは見せてくれた。
取材:にしかわ花 写真提供:山王綾