自動車総連、2025年春闘の賃金改善「1万2000円以上」 7年ぶりに要求額 絶対額重視の方針は維持
自動車総連(金子晃浩会長)は12月11日、2025年春闘の賃金改善分(ベースアップに相当)の要求目安額として「1万2千円以上」という金額を掲げる方針を発表した。総連が要求額を示すのは7年ぶり。絶対額を重視する方針は変えない。来年1月9日に実施する中央委員会で正式に決める。金額の目安を示し、中小単組の賃上げ促進を図る狙いだ。 総連は大手と中小の賃金格差を是正するため、19年から統一要求額の提示をやめていた。総連や大手の要求額を基準にせず、中堅や中小単組が各労使の経営環境を踏まえて主体的に要求額を決められるようにするためだ。実際に、19年から22年までの賃金改善分の平均獲得額は中小が大手を上回り、格差の是正が進んだ。 ただ、歴史的な物価上昇を背景に賃上げ機運が高まった23年以降は、大手と中小の差が再び開く傾向にあった。24年の春闘では、全体平均の賃金改善分は平均7696円だが、3千人以上の組合が平均1万962円の賃金改善分を得たのに対し、299人以下は平均6838円と差が生まれていた。 その一方、要求額ベースでは1万円以下で要求した組合が全体の3割を占めた。このため各単組が主体的に要求額を決める「絶対額を重視した取り組み」という従来の方針は踏襲した上で、目安を示すことで「中小単組が堂々と要求できるように背中を押す」(金子会長)狙いだ。 1万2千円という金額は、24年度の物価上昇率や中小と大手の賃金差を踏まえて算出した。物価上昇の継続で「27歳以上の実質賃金は低下しているのが実情だ」(自動車総連)とし、25年は実質賃金の向上を目指す。仮に299人以下の労組の賃金改善分が1万2千円だった場合、賃上げ率は約5%となる。