Elephant Gymが語るtoeからの影響、世界への眼差し、アジア・台湾・日本のつながり
世界ツアーの収穫、相思相愛の来日公演
―20カ国以上の国と地域を巡る世界ツアーが1年近く続いていますが、そのように巨大なプロジェクトがあるにもかかわらず、インディペンデントでの活動を続けてきたのはなぜでしょうか? Tell:台湾のポップスの多くは中華系のマーケットを強く意識しますが、僕たちは活動当初から、音楽という共通言語を通して世界中の人々との交流を夢見ていた。それが大手レコード会社に所属しないと決めた大きな理由の一つです。その理想が結実したのが今回の世界ツアーだと思います。また、様々な国や地域から文化的刺激をギフトとしていただいているから飽きることなく続けられているのだと思います。 Tu:活動当初から創作以外の事務的な仕事も含めて全て自ら関わってきたからこそ、自分たちが目指す世界観を作ってこれたと思います。 ―世界ツアーで印象に残っていることはありますか。 KT:私はモンゴルですね。「Playtime Festival」(7月開催)でのパフォーマンスは成功して、ファンの方々も情熱的でしたし、雄大な自然にも驚かされました。 Tell:3月のメキシコ公演は初めての南米でしたが、チケットが完売して驚きました。言葉が通じない南米のファン500~600人が、僕たちの曲を自分の声が聴こえなくなるほどの大きな声で大合唱してくれました。僕たちの作品は精密な計算で構成されていますが、南米のファンにも負けない情熱的な演奏をしたい。彼らの情熱にもストレートに応えられる方法を考えたいですね。 この投稿をInstagramで見る 大象體操(Elephant Gym)(@elephant_gym_official)がシェアした投稿 モンゴル「Playtime Festival」出演時の様子、写真2枚目では雄大な自然が広がる ―日本のバンドも台湾やアジアに行く機会が最近増えています。アジアの音楽シーンは、これからどのように連携していくのがよいと思いますか。 Tell:特に東アジアの台湾、日本、韓国はコロナ後により一層頻繁に交流を行っています。少し前に台湾のSunset Rollercoasterと韓国のHYUKOHのコラボアルバムが出ましたが、私たちも4thアルバム『WORLD』で日本の亀田誠治さんやTENDREさんをお招きしたりと、さらに交流を深めています。インターネットや交通の利便性のおかげで、みんなが本当に繋がっていると感じます。さらにアジアで重要なのが東南アジアです。ツアーでベトナム、フィリピン、インドネシアを訪れた際、それらの国々のバンドや音楽シーンがエネルギッシュなことに驚きました。 Tu:日本だけでなくアジアとの連携は、音楽シーンだけでなく、領域横断的にいろんなクリエイターや人々と協力することで、新しいものが生み出せるのではないかと思います。 ―私の台湾の友人が投票のためだけに一時帰国したことがあって驚いたのですが、台湾の方々は政治への意識が高く、世界に目線が向いているように感じます。これにはどんな背景があるのでしょう? Tell:台湾は複雑な歴史的・地政学的背景を持った小さな島だからこそ、外の世界への強い興味を持ち、海外経験を通じて自己のアイデンティティを形成する傾向があると思います。特に若い世代は異文化交流に積極的で、軽やかな文化的つながりを通じて多様な背景を持つ人々との交流が出来ていると思います。 それに、結局のところメディアから伝わる他国の情報は一面的です。実際に海外に足を運ぶことで他の地域のことがわかる。世界ツアーで様々な国や地域を回るなかで、同じ人間でも地域によって個人の自由を重視したり、集団行動に美学を見出したりと、価値観が異なることを肌で感じました。 また、台湾はまだまだ比較的物価が低いからこそ、若者が自分のやりたいことに挑戦する余裕があります。こういった様々な要因が組み合わさって、台湾の人たちの国際的な意識や政治への関心の高さに繋がっているのだろうと思います。 ―Elephant GymやSunset Rollercoasterを始めとした台湾のバンドは欧米でも活躍していますが、欧米には台湾の音楽関係者のネットワークのようなものがあるのでしょうか? Tell:Sunset Rollercoasterとはアメリカでのマネージャーが同じなんです。欧米でのコラボレーターや会場施設などに関する情報交換をしています。台湾のアーティストが世界で飛躍的に活躍するのはまだまだこれからだと思います。なので、バンド活動での経験は個人のものではなく、共通体験としてシェアしていく必要があると思います。もし台湾の若いバンドが日本やアメリカで演奏したいと思ったら僕たちに質問をしてくるでしょうし、立場が逆でも同じことをするはずです。僕たちは自分たちが知っていることや手伝えることは惜しみなく分かち合い、共に成長し合える交流を望んでいます。おそらく僕たちの友達も皆、それを望んでいると思います。 ―10月にはビルボードライブ横浜と朝霧JAMへの出演が決まっています。今回のツアーでの来日公演は1月・4月に続いて今年3度目ですが、これまでもチケットが完売したり、入場規制がかかったりと大盛況でした。特にビルボードライブでは今までのElephant Gymとは違った側面も観られるのではないでしょうか。 Tell:1回目、2回目を聴いて、3回目にも来てくれるファンもいると思います。なので、ビルボードライブでは普段あまり演奏しない作品をお届けしたいです。今回のビルボードライブ公演を「The Hidden World」と呼んでいるのはそのような意味が込められています。また、ビルボードライブでは台湾高雄市のブラスバンド、高雄市管樂團(KCWO)と一緒に演奏します。これはとてもレアなコラボレーションです。 この公演には僕の両親を招待しています。つまり、日本のビルボードライブ公演は親にも聴いてもらいたいほど力を入れて準備しているので、楽しみにしていてくださいね! --- Elephant Gym “The Hidden World” Billboard Live 2024年10月14日(月)ビルボードライブ横浜 時間:1st Stage 開場 15:30 開演 16:30 / 2nd Stage 開場 18:30 開演 19:30 「朝霧JAM’24 (It’s a beautiful day~Camp in ASAGIRI JAM’24)」 2024年10月12日(土)・13日(日)富士山麓 朝霧アリーナ ※Elephant Gymは10月13日出演
Shunichi MOCOMI