【毎日書評】13歳の頃どんな本を読んでいた?本の奴隷にならず「自由な読書」を取り戻すヒント
本との主従関係を修正する
本が読めないと悩んでいる方を見るにつけ、「“本との主従関係”に巻き込まれているのではないか」と感じることがあります。つまり、本を気高いものであるかのように考えすぎるあまり、知らず知らずのうちに“本の奴隷”のような状態になってしまっているということ。 たとえば読書に関する諸問題としては、①「読書の時間をつくれない」、②「読むのが遅い」、③「読んでもすぐに忘れてしまう」などが挙げられます。それらが原因で立ち止まっている方が多いわけですが、それこそが本の奴隷になっている証拠だとはいえないでしょうか。 たしかに上記の3点は、読書の習慣化を阻む厄介な問題ではあります。しかし、それらを必要以上にシリアスな問題だと考えてしまうから、なにかと面倒なことになってしまうのです。 しかし実際のところ、本はそれほど偉い存在ではないはずです。もちろん本は役に立つことの多いメディアであり、読書という行為には間違いなくあります。とはいえ、読んだり活用したりする権利は読者自身にあるのです。 それどころか、ピンとこない本を「これは自分に合わない」とジャッジすることもまた読者の権利だといえます。「読み始めたからには、なんとしてでも読み終えなくてはいけない」というような呪縛に縛られすぎている方もいらっしゃるでしょうが、それは間違いです。人間関係と同じで、相性のよくない本は存在するのですから。その本のせい読者のせいでもなく、“そういうもの”なのです。 そう考えていくと、①②③の諸問題を解決する糸口が見えてきます。①時間をつくれないなら、少しずつでも時間をつくれるように工夫してみればいい。②読むのが遅いなら、どうしたら速く読めるのかと考えて試行錯誤してみたり、あるいは「読むのが遅い自分」を認めてしまえばいい。③すぐに忘れてしまっても、「そういうものだよ」と流せばいい。それだけの話です。本に支配されなければ、ここまで自由になれます。(98ページより) ここでいう自由とは、考えすぎて可能性を失ってしまうのではなく、本との理想的な関係を築けるということです。逆に読書を理想に近づけることができないと、必要以上にコンプレックスは肥大化していくかもしれません。すなわちそれが、“本の奴隷”になっている状態。 でも、いいか悪いか、好きか嫌いかを決めるのは本ではなく自分です。だからこそ、上記の①②③を含め、いまある自分を受け入れるべき。そうすれば本との関係もよりよいものになり、読書は楽しくなっていくはずです。(96ページより) 冒頭でも触れたように、「読書離れ」が問題視されることがあります。たしかに、読者人口は減っているのでしょう。しかし、そういうネガティブ要因ばかりを取り沙汰することは意味がないと僕は考えています。「読まない人が増えた! 大変だ!」と騒げば状況が改善されるわけでもありませんし、もっと大切なことがあるからです。 それは、数が減ったとはいえ、本を読む人は間違いなく存在しているという事実。その証拠に、書店にも図書館にも人がいます。大切なのは、それを評価し、そういう人をいかに増やすかについて前向きに考えること。ですから現在の状況をただ否定的にとらえることは避けたいと感じますし、本を読む楽しさを少しでも多くの方に知ってほしいとも考えています。つまりそれが、本書を執筆した理由。 週末の時間などを利用して、ぜひ読んでみてください。そもそもライフハッカー・ジャパンの読者の方々は、基本的に本が好きなタイプだと思いますし、きっと“読書についての本質”を感じていただけると思います。 >>Kindle Unlimited3カ月無料キャンペーン中【10/20まで】 Source: 光文社新書
印南敦史