【直撃インタビュー】阿部一二三&詩 パリ五輪でも兄妹で金!
決戦の日は7月28日、舞台はパリ・エッフェル塔のすぐ近くに建つシャン・ド・マルス・アリーナだ。阿部一二三(ひふみ)(26)と詩(うた)(23、共にパーク24)は今夏のパリ五輪において、東京大会に続く兄妹同日Vを狙う。神戸に帰郷した4月14日、母校・神港学園高校の壮行会で、柔道男子66㌔級代表の一二三は集まった200人を前に「圧倒的なV2」を誓った。 【画像】すごい…!阿部一二三と買い物をする橋本梨菜の「セクシーすぎる私服ニット」姿…! 「東京大会は自分の夢をかなえる舞台だった。それはパリ大会でも変わらないんですが、パリではより結果と内容にこだわりたい。自分の攻撃柔道を世界中に見せつけて、オール一本勝ちで優勝したい」 国際大会では常に女子52キロ級決勝が男子66キロ級決勝の前に行われてきたが、パリでは逆になる。兄の結果を受けて畳に上がる分、あらゆる状況を想定しておく必要があるかもしれない。それでも詩は言う。 「東京大会では、五輪という舞台がどんなものかわからなかった。一度、経験しているということで、今回は精神面に少し余裕があるのかな」 ふたり同時に2個目の金メダルを手にできなければ、夢破れたも同然だ。 「柔道を志してから、兄が常に私の先を歩いてくれていた。私は同じ道を辿るだけ。ずっと心強い存在です」(詩) 一二三を初めてインタビューしたのは、高校2年生ながら講道館杯を制した’14年だった。畳の上での17歳の表情はふてぶてしく、背負い投げや袖釣り込み腰といった豪快な担ぎ技で年長者をなぎ倒していく。柔道界に突如現れた新星は、五輪3連覇の野村忠宏(49)に憧れていると明かし、こんな大言を放った。 「3連覇しただけでは超えたことにはならない。僕は五輪4連覇を目指します」 だが、’16年のリオ五輪の代表選考には間に合わず、コロナ禍もあって初の五輪はそれから7年後となった。それでも当初思い描いていた青写真に変わりはない。 「今も僕は4連覇を目指しています。2連覇しなければその夢もかなえられない。パリは通過点といえば通過点です」 野村や谷亮子(48)が五輪連覇を遂げている一方で、男子日本代表前監督の井上康生(45)や現監督の鈴木桂治(43)は、金メダルが確実視されながら連覇に失敗した。一二三は言う。 「東京大会では(大野)将平さん(32)が凄い勝ち方で2連覇したんですけど、リオに比べれば苦しんだというか、理想の柔道を貫くことの難しさがあったような気がする。すべてを受け入れる覚悟はしています」 詩もまた夙川(しゅくがわ)学院高校の2年時(’17年)に兄同様の衝撃デビューを飾った。一二三をトレースしたような攻撃柔道で、講道館杯、グランドスラム東京を制すると、愛らしい笑顔でこう宣言した。 「これから『阿部詩の時代』を続けていきたいと思います。自分の柔道は『一本を取りに行く柔道』。いろんな技で投げたいんですけど、みんなが驚く、みんなが沸くのは担いで投げることかなと思っているので、そこにはこだわっています」 国内に丸山城志郎(30)という最大のライバルがいた一二三とは違い、詩は女子52キロ級における絶対女王として強固な立場を築いてきた。パリ五輪後については――兄のように明言はしなかった。 「今後の人生を豊かにするためにも、しっかり勝ち取らないといけない。あまり連覇ということは意識せず、あくまでひとつの大会だという意識で臨みたい」 東京五輪から無敗の兄妹はこのおよそ10年間、日本柔道のみならず世界の「JUDO」の顔であり続けてきた。それはパリ五輪後も続く。 『FRIDAY』2024年5月3日号より 撮影・文:柳川悠二(ノンフィクションライター)
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