交通空白地問題を解決すべく日野自動車も参戦! 自治体ライドシェア事業をサポートする実験を開始
通信型ドライブレコーダーを活用
日野自動車が通信型ドライブレコーダーを用いて、自治体ライドシェア(自家用有償旅客運送)事業の運行管理業務に関する実証実験を実施すると発表した。これは、旅客運輸事業者の働き方の改善や交通空白地の解消を目指した、同事業の導入推進をサポートすることが目的になっている。 【写真】やっぱり日本より一歩進んでる! アメリカでよく見かける自動運転車とは この実証実験では、乗務前後に行なう法定業務の遂行状況や、運転・運行状況といったものを見える化することで、ライドシェアに従事するドライバーと、運営主体の連携強化が図れるようにすることを目指しているのだ。また、蓄積したデータを基にして、より安心・安全な運行ができるようなサポート体制を構築することも意図している。 ライドシェアとは、車両を運転する運転手と乗客をマッチングさせるサービスのこと。もともと、「Ride」とは「乗る」という意味だから、「Ride-Share」は「相乗り」と訳すことができる。わが国では、クルマに有償で客を乗せる行為は、法律で認められた事業者にのみ許されることであり、そうでないものが行えば「白タク」として罰則の対象となる。ところが、 ・2024年問題によるドライバー不足 ・インバウンドの増加 ・ 一部地域におけるバス・タクシー事業者の経営難 などといった問題が深刻化し、それを解決するために、ライドシェアを制度化して導入することになったのだ。 ライドシェアには2種類がある。 ⚫︎ 日本型ライドシェア(自家用車活用事業) タクシー会社などの旅客運輸事業者が事業主体。タクシーが不足しているなどを理由に、指定された地域で実施。交通機関が十分でない時期・時間帯に合わせて、地域の一般ドライバーが運転する自家用車を使用し、有償で旅客運送サービスを提供する。 ⚫︎ 自治体ライドシェア(公共ライドシェア、自家用有償旅客運送) 公共交通が十分に提供されていない地域(交通空白地、日本型ライドシェア事業を担う事業者がいないなど)において、自治体・NPO・一般社団法人などが運行主体となるライドシェア。 今回、実証実験の対象となるのは後者だ。前者は、実績のある旅客事業者が事業を行なうため、すでに相当のノウハウがあると考えられる。しかし、後者は旅客運送事業の運営実績がなく、地域性もまちまちであることから、今回の実証実験の必要性につながったものと考えられよう。 実証実験の内容は以下の通り。 ・通信型ドライブレコーダーの搭載 本機はGPSのほか、みちびき(日本の衛星測位システム)やGLONASS(ロシアの衛星測位システム)に対応することで、精度の高い位置情報や車両速度を算出し、運行管理者(自治体など)がドライバーの走行状況をリアルタイムで把握することができる。急挙動などを検知した場合は、音声にてドライバーへ注意と警告を発する機能がある。 ・イベントの記録・日報の作成 ドライブレコーダーで取得した運行・運転データをクラウドサーバー上に保存。トラブル、事故、急挙動が発生した位置情報や速度のほか、発生時の静止画やその前後の動画確認を、運行管理者が直ちに行うことができる。また、車両やドライバーの情報、運転経路、運転評価、走行履歴などを自動で作成し、運行状況の見える化と業務の効率化を図る。蓄積された運行・運転データは、ドライバーの安全講習や運営主体への助言にも活用する。 ・スマホアプリ「Pdrive DRV」「Pdrive MGR」との連携 交通事故削減ソリューションアプリと連携し、安全運転診断やクラウドにアップロードされた映像を確認ができる。 これにより、自治体などの運行管理者は、簡単にライドシェアの遠隔管理が可能になるのだ。同社ではこれらに加えて、同制度の導入に向けた制度理解や課題の洗い出し、申請手続きなども一括して請け負うことも視野に入れている。社会問題の解決には、こういった官民一体となった取り組みが大切だといえるのではないだろうか。
トラック魂編集部