本誌インタビューに応じた6連勝中のブランチフィールド

　2024年3月30日（日本時間31日）、米国ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールにて、『UFC Fight Night: Blanchfield vs. Fiorot』（U-NEXT配信）が開催される。 【写真】圧倒的な組み技の強さ──ブランチフィールドはヘンゾの弟子でEBI覇者でもある 　メインイベントは、女子フライ級2位のエリン・ブランチフィールド（米国）と、3位マノン・フィオロ（フランス）の「UFC6戦全勝対決」。 ▼女子フライ級 5分5R エリン・ブランチフィールド（米国）12勝1敗（UFC6勝0敗）※UFC6連勝中 マノン・フィオロ（フランス）11勝1敗（UFC6勝0敗）※UFC6連勝中 　現同級王者のアレクサ・グラッソと前王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコのTUFコーチ・トリロジー対決後の、挑戦者になると目される、このメインの両者にインタビューを試みた。 　大会の模様は、日本時間31日（日）朝8時にスタート予定のプレリムがUFC公式サイトおよびYouTube公式チャンネルでライブ配信されるほか、11時に始まるメインカード6試合を含む全試合が『U-NEXT』『UFC FIGHT PASS』でライブ配信される。 ◆ブランチフィールド「マノンの空手？ 魅津希の動きを体感している」 ──「UFC6戦無敗対決」となります。今回のファイトキャンプはどこで？ 「MKムエタイと、シルバーフォックスBJJ、クルドバTrained Wrestling。全部ニュージャージーにあるジムね、そこで練習をしてきたわ」 ──今回はヘンゾ・グレイシーのところでは？ 「今回のキャンプではトレーニングしていないんだけど、これまではたくさん一緒にトレーニングしてきているから。今回はニュージャージーで集中してトレーニングをしてきたの」 ──MKムエタイということはラモン・マルドナドコーチとジェシカ・メレンデス女子コーチらと打撃を強化してきたことになりますね。グラップラーと言われるブランチフィールド選手ですが、組んでの打撃に決定力を持つヘッドキックも左右で打つことが出来ます。バックボーンは柔術でしたよね？ 「7歳の時にブラジリアン柔術とキックボクシングも始めたの。だからどちらも結構長い間トレーニングしてきてるわね。組み技を立ち技だからよりMMAに近い状況になっていて、当然、ノーギ柔術やキックボクシングも混ざってきて、MMAに実際足を踏み込んだのはティーンエージャーになってからね。いま24歳で、15歳くらいからMMAに取り組んでいた」 ──ブランチフィールド選手といえば、日本の魅津希選手とも練習していますね。 「魅津希！ 彼女は日本に戻ったりラスベガスに居たりすると思うけど、結構いい友達だったの。かなり一緒にトレーニングしたわ。彼女は最高。魅津希のスタンディングスキルは素晴らしいわ。すごく速いし、動きがいい。彼女に打撃を入れるのは難しいし、逆に彼女は打撃を入れる事が上手い」 ──空手出身の魅津希選手とのかつての練習経験が、今回のマノン・フィオロ戦でも活きそうですか？ 「その通り。あの出入りの速さを経験している。間違いないわね」 ──ところで、あなたはテイクダウンの投げの時に足技を使うことが多いように見えます。外がけのアウトサイドトリップや内がけのインサイドトリップはもちろん、大外刈や内股はレスリング由来というより柔道に近いような……。 「ああ、たしかにそうね。実はちゃんと柔道を習った事はないの。でも柔術の中で柔道の投げ技は学んだりしてきた。知っての通り、柔術と柔道は関わりもあるから」 ──あのシザースローも？ 「カニ挟み、すごい使う！ 練習でもたくさんするわ。試合にもとても効果的だと思っているから結構使うわね。捨て身に？ ならない。どんな投げ技もそうならないように使うことがMMAでは重要だから」 ──ギロチンやアメリカーナやキムラも得意とするあなたは、18歳のときに最年少でエディ・ブラボー・インビテーショナルのフライ級王者になりました。しっかりポジションを制して極める。その当時からUFCチャンピオンになることは目標としてすでにあったのでしょうか。 「そうね。すでに目標としてあったわ。当時柔術の試合もたくさん出ていて。もちろんその競技のチャンピオンになれるように集中して頑張っていたんだけど、MMAのことは常に頭にあった。そしてMMAのゴールとしては常にUFCのチャンピオンになる事が目標だった」 ──Invicta FCでは際どい判定でトレイシー・コルテスに敗れたものの、UFCで負けなしの6連勝。3連続一本勝ちから2023年8月の前戦では、4位のタイラ・サントスを相手に序盤は組めず打撃でも苦戦しましたが、粘り強いテイクダウンでサントスのスタミナを削って打撃も当てての判定3-0勝利。あの試合から学んだことは？ 「タイラとの試合は本当にタフな試合だったと思う。私のテイクダウンをカットされまくってしまって。だから試合後、コーチたちと映像を何度も見直してテクニカルな部分も修正していった。テイクダウンのスキルを上げるためにね。それは今週末の試合に向けての強化にもなった」 ──松濤館空手出身のマノン・フィオロの間合いに対して、いかにアプローチするかが鍵となりそうです。 「その通りで、コーチと一緒に近い距離で戦えるように戦術を練ってきた。いくつかやろうと思っていることがあるから、今週末の試合で見せられると思う」 ──ここまでUFC6連勝は想定していましたか。 「想定していたわ。私は自分に関しては常にハイスタンダードな想定をするようにしている。勝ちたいというマインドセットを毎試合大事にしているの。だからここまでの道のりに関してはとても満足しているし、これからもっと上にいけると思っている」 ──フライ級王者のアレクサ・グラッソとヴァレンティーナ・シェフチェンコは現在、 TUF次シーズンのコーチになっており、9月のトリロジー対決に向かっています。両者の間で決着が付くまで少なくとも半年待たなければならない可能性があることについて、どう考えていますか。 「周りのみんなは少しがっかりしていたように思うけど、私は目の前のことに集中し続ける必要があったから。マノンが目の前にいる。彼女は堅実なファイターだし、ほかの物事に気を取られるわけにはいかない。そこに全集中を注ぐ必要がある。今回の試合で完全に試合をドミネートしてフィニッシュかノックアウトができれば、次はタイトル戦に次なると思う。まずは週末の試合に集中していて、勝てばそうなるだろうと思っている」 ──6連勝対決を前にしても受け答えにも自信が感じられます。 「私は誰かと戦ったり、自分の立場を失うことを恐れていないの。UFCが私の前に誰を出しても、私は勝つと非常に自信を持っているから。タイトル戦が可能になるまで自分のポジションを維持することは分かっている。 　私はマノンよりも厳しい競争を戦ってきたと感じている。それが、いま私が2位で、彼女が3位である理由だと思う。私は、多くの人がヴァレンティーナ（シェフチェンコ）に勝ったと思っていたタイラ（サントス）に勝ったし、（ジェシカ）アンドラージを極めた。マノンも偉大なファイターを倒してきたけど、私のキャリアはもっと印象深いと感じている」 ──アトランティックシティでのフィオロ戦はどんな試合になりますか。 「マノンは私と同じでハイレベルな選手だから、結構ハードな戦いになると思う。だから1R目はきっとまず自分の距離を探りながらどうゲームプランを遂行するかを探るラウンドになって、その後のラウンドでフィニッシュできると思っているわ。ただ勝つだけではなく、どうやって勝つかが重要。ジェシカ・アンドラージ戦（2R RNC）のように。勝利を確実に表現することが、どの試合でも常に目標となる。なぜなら、それが自分をさらに前進させるから」 ──では最後にファンへメッセージを。 「いつも応援をありがとう。いつか日本に行きたいと思っているの。いつもありがとう！」