北朝鮮のサイバー犯罪に米国が執拗な制裁圧力 核・ミサイル開発につながる暗号資産窃取を警戒【ワシントン報告(7)サイバーセキュリティー】
財務省は仮想通貨の窃取に使われたアカウントも公表している。北朝鮮のサイバー犯罪を取り上げたジェフ・ホワイト氏は著書で「これら公表されたアカウントは一切使えなくなるわけで、現代の捜査手法の一つの在り方だ」と説明した。米国は容疑者を手配しているが、北朝鮮が引き渡すとは考えられない。 当時のムニューシン財務長官は声明で「制裁に反して北朝鮮が自らの利益や不法な収益を求め、世界のサイバーセキュリティーの土台を揺るがすことは認めない」と強く警告した。 国連専門家パネルの報告書は韓国政府の発表を引用する形で、北朝鮮が窃取した仮想通貨は2017年以降で12億ドル(約1750億円)に上っており、昨年は6億3千万ドルと年間当たりで過去最大になったと指摘した。 ▽「母親任せはばかげている」 バイデン政権は国家サイバー長官の新設など対策に力を入れてきた。国家戦略の最大のポイントは個人任せの従来政策を改め、政府の規制を強化し、デジタル分野の企業に責任をより負わせる点にある。
普通の市民や中小企業はサイバーに精通していない。ケンバ・ウォルデン国家サイバー長官代行はワシントンでのシンポジウムで「自分の母親や地元の図書館(のような素人)に中ロや北朝鮮、イランといった巧妙な敵の攻撃からの自衛を任せるなんてばかげている」と国家戦略の狙いを語った。