村上春樹「ときどき日本語の歌がすごく聴きたくなることがあります」ラジオ番組『村上RADIO』で“日本語歌詞”の楽曲を特集
◆由紀さおりとデューク・エイセス「田舎のバス」
次はがらりと雰囲気が変わって、「田舎のバス」です。これは由紀さおりさんとデューク・エイセスが1971年にリリースした、三木鶏郎(みき・とりろう)さんへのトリビュート・アルバム『三木鶏郎ソングブック』に入っています。オリジナルは中村メイコさんが歌って、昭和30年にヒットしました。それを由紀さおりさんが、ボサノヴァのリズムで楽しくスマートにカバーしています。 三木鶏郎さんは戦後間もなく、ラジオの放送作家として、また冗談音楽の作曲家として活躍しました。若き日の永六輔さんや野坂昭如さんなんかも、彼の仲間として売り出しました。三木鶏郎さんの作る音楽はモダンでポップ、明るく楽天的なことが特徴でした。このアルバムは、彼の作品を高く評価する和田誠さんが企画・構成してできたものです。田舎のバスも最近では性能が向上したようですが、昭和30年当時はかなりおんぼろだったんでしょうね。 (TOKYO FM「村上RADIO~今日はすべて日本語の歌詞です~」2024年2月25日(日)放送より)