<頂きへ!・センバツ2023大垣日大>/4 守備の練習が8割 投手陣も底上げ /岐阜
「飛びつけ」「イレギュラーにも反応しろ」。照明がともった神戸町のグラウンドで今月7日夕、大垣日大の選手たちは、厳しく声を掛け合いながらノックを受けていた。足を早く動かして打球の正面に入り、捕球してすぐに送球する。実際に走者も走らせ試合感覚を保ち、球際の強さを磨く。 昨秋の県大会では一歩及ばず準優勝、東海大会では4強入りを果たした。結果だけ見れば健闘したが、ナインに笑顔はなかった。主将の日比野翔太(2年)が「エラーで負けた」と語るように、センバツを見据えた課題は明確だった。 県大会と東海大会の計9試合でチーム打率は2割9分6厘で、本塁打は3本。東邦(愛知)との東海大会準決勝では二回に先制し、逆転されても九回に2点を返すしぶとさを見せた。しかし、9試合の失策は12。攻撃より守備を重視する阪口慶三監督(78)にとって気になる数字で、ミスから失点につながったケースもあった。冬場は守りを徹底的に鍛えた。 各選手の長所、短所を見極め、内外野で守備位置を入れ替えた。「練習時間の8割は守備」(阪口監督)に充てて基礎から見直し、選手同士で競争させた。東海大会で二塁を守り、現在は左翼も担う山口直次郎(2年)は「冬場はノックがすごく多かった。チーム全員が一球ごとに試合を意識して捕球している」と強調する。 センバツで勝ち上がるためにもう一つ必要な要素は、投手陣の底上げ。エース右腕の山田渓太(同)は秋の県大会、東海大会の全9試合に登板し、うち5試合で完投勝利。62回を投げて奪三振52、防御率1・74と堂々の成績を残した。 山田を柱とした厚い投手陣を作るため、スタミナや筋力を養うメニューをそろえたところ、阪口監督にとって「うれしい誤算」が生まれた。右の保田篤史と桜井温大、左の矢野海翔=いずれも2年=らが著しい成長を遂げたのだ。 保田、桜井はどっしりとした体格から力のある球を投げ込み、横手投げの矢野は力んだ打者を変化球でかわす投球術が持ち味で、阪口監督も「打者がどんどん振ってくる甲子園向き」だと太鼓判。次期エース候補の1人、右の権田結輝(1年)もめきめき実力を付けている。 山田を大一番で起用するため、タイプの違う投手をそろえ、守りも着実に固めた。「思った以上に成長した。全員がのっているというか、踊っているように見える」。グラウンドに厳しい視線を送る指揮官は、センバツに向けて自信を深めている。=つづく