1985万円自転車で「金」を 日本、チェーンやギアを左配置
パリ五輪の自転車で日本が初の金メダルを目指すトラック種目は5日に始まる。日本代表用に開発された自転車の市販価格は税別1985万円。東レ・カーボンマジック(TCM)が徹底して空気力学を突き詰めた超高額マシンだ。 東京五輪で使ったブリヂストンサイクルのモデルコンセプトを引き継ぎ、レーシングカー開発に長年携わるTCMが製作した。風洞実験ではマネキンを乗せて空気の流れを研究。車両単体ではなく、選手が乗車した状態で最も空力が良くなるようにデザインされた。 TCMが自転車をつくるのは初めてで、斬新なアイデアが車体の各所にちりばめられた。その一つが、一般的には右側にあるチェーンやギアを左に配置したこと。TCMの奥明栄社長は「反時計回りで走る競技。斜め左から空気を受けやすいことを計算した」と説明する。 従来と比べて空気抵抗は7%低減。競技に用いた代表選手からの評価は上々だ。21、22年世界選手権の女子ケイリンで連続銀メダルの佐藤水菜は「思っている以上にスピードが出るし速度も落ちにくい」と話した。