「企業年金の運用の見える化」の議論始まる、年金運用の効率化等の向上に向け国民の関心を高める工夫
社会保障審議会 企業年金・個人年金部会が4月24日に開催され、「企業年金の加入者のための運用の見える化」について議論した。公的年金制度については、年金保険料の支払期間の5年延長の議論が話題になっているが、少子高齢化の進展に伴う年金制度の維持と同時に、公的年金を補完する私的年金である「企業年金・個人年金」の制度の拡充もまた重要な課題に位置付けられる。「運用の見える化」は、私的年金に関する国民の関心を高め、さらに、運用の効率化を促すためにも必要なことと位置付けられている。
「企業年金の加入者のための運用の見える化」については、2023年12月13日に発表された「資産運用立国実現プラン」において、確定給付企業年金(DB)の改革の項目で「運用状況や専門人材の活用に係る取組状況を含む情報の他社と比較できる見える化(情報開示)を行う。その具体的な方策については、規模等の状況にも配慮し、厚生労働省が情報を集約し公表することも含めて、次期年金制度改正に関する結論と併せて(2024年末)、結論を得る」とされた。また、企業型確定拠出年金(DC)の改革として、「事業主ごとの運用の方法のラインナップや運用状況等を含む情報の他社と比較できる見える化(情報開示)を行う。その具体的な方策については、厚生労働省が情報を集約し公表することも含めて、次期年金制度改正に関する結論と併せて(2024年末)、結論を得る」と定めている。
DBとDCについて、それぞれの制度特性に応じて開示する内容を例示し、「厚生労働省が情報を集約し公表することも含め」と情報公開の方法も示唆する内容が事前に示されていた。このため、今回の会議で示された厚労省の配布資料においても、見える化の開示方法については、「厚生労働省が公表を行う」という案が示された。そして、公表を行う項目については、厚生労働省が毎年、報告を受けている内容に一部追加して情報を取得して開示内容とする案が示された。これは、「見える化のために企業に新たな負担を増やして企業年金の新設等が敬遠されることを回避するため」と説明された。