「まっすぐな気持ちで演じることができた」映画『夜のまにまに』W主演を務めた、加部亜門、山本奈衣瑠、対談インタビュー
未来に開かれたラスト
―――新平と佳純による最後のやり取りも印象的でした。個人的には、キスで始まった2人の関係が、ペットボトルの水を回し飲みして間接キスで終わる、という流れが素晴らしいと思いました。お2人は本作の結末をどのように捉えていらっしゃいますか? 山本「このシーン、佳純を演じた私の気持ちとしては『感謝』の一言に尽きるんですよね。佳純は面と向かって言葉で感謝を伝えるのができない人だと思っていて。新平と一緒に走って、疲れを共有して、同じ水を飲む。佳純にとってはこれが最大限の感謝の伝え方。このシーンはセリフも2人の距離感も素晴らしいと思ったし、それを読み取ってくれたのは嬉しいですね。 初めと同じように『バイバイ』するのだけれども、なんかもう、あれで全部わかってほしいと言いますか、佳純としては精一杯伝えたかなって。その後もきっと新平からもらったパワーを糧に好きなことをやっているのではないかな。すごく前向きで開かれた最後だと思いました」 加部「忘れられない時間を過ごした後、家に帰って玄関で鍵を開けようと思ったら鍵がなかったことに気付く。佳純は『あ、やばい、(鍵を)探しに行くか』と、新平に1歩を踏み出すきっかけをくれた人だと思います。おそらく出会わなかったら、新平が思い出さなかったこと、言わなかったことはたくさんあっただろうし。 長い人生において佳純と過ごした時間はほんの一瞬に過ぎないかもしれないけど、一生感謝し続ける相手なんだろうなって思います。この映画を観てくれた人が、少しでも新平と同じ気持ちになってくれたら嬉しいです」 (取材・文:山田剛志) ヘアメイク:夏海(加部亜門、山本奈衣瑠) スタイリスト:青木 穣(山本奈衣瑠) 山本奈衣留 衣装クレジット:タートルネックセーター¥15,400 (ブラームス/ワンダリズム03・5797・9915) その他は私物
山田剛志