空売り投資家チャノス氏をパートナーが提訴-会社資金横領と主張
(ブルームバーグ): 不正会計で破綻した米エネルギー会社エンロンに対する空売りで知られる投資家ジム・チャノス氏が、会社の資金を横領したとしてパートナーから訴えられた。
ニューヨーク州の裁判所に訴訟を起こしたのは、シカゴに本社を置くコンロン・ホールディングス。ヘッジファンド運用のチャノス・アンド・カンパニー(旧キニコス・アソシエーツ)に2020年に出資したコンロンは、チャノス氏が自分の会社を「貯金箱」として使ったと主張。昨年終盤に40年近く続けてきたチャノス・アンド・カンパニーを閉鎖したチャノス氏は反論している。
訴訟の焦点はチャノス氏が10年余りにわたり自身の会社から借り入れた残高1000万ドル(約15億7300万円)のローン。
コンロンによれば、チャノス氏は「会社に返済するつもりはなく、その代わりにゼネラルパートナーとしての権力を用いて会社を徹底的に利用し、金融不正で税制優遇を享受し、パートナーには何も残さないつもりだった」という。
訴状ではまた、チャノス氏が今月、パートナーに通知することなく、チャノス・アンド・カンパニーが所有していたマイアミの高級住宅を1780万ドルで売却したとも指摘。
訴状によると、チャノス氏の恋人クリスタル・コナーズ氏がこの取引で販売代理人を務め、標準的な手数料率であれば54万ドルの利益を得たとしている。「言い換えれば、チャノス氏は会社資産を売却しただけでなく、自分のものではない50万ドル以上を恋人に支払うため売却を行った」とコンロンは訴えている。
コナーズ氏はコメントを求めるメッセージにすぐには返答しなかった。
チャノス氏(66)はインタビューで、この訴訟は「不可解で根拠がない」と述べ、「事実が示されれば、問題となっている社内融資は21年に返済されたことが分かるだろう」と説明した。
ショーン・コンロン氏率いるコンロンは、同社への資本拠出をチャノス氏が融資の支払いとして再分類しようとしているとし、同氏がマイアミの住宅売却益を移転するのを禁じる裁判所命令を求めるとともに、チャノス氏のゼネラルパートナー解任と臨時管財人の任命も必要だとしている。