【ワシントン＝坂本一之】米紙ウォールストリート・ジャーナル（電子版）は１０日、バイデン米政権が国内のクリーンエネルギー関連産業を保護するため、中国の電気自動車（ＥＶ）に対する制裁関税を現在の約４倍となる１００％程度に引き上げる方針だと報じた。これにより、中国政府の産業支援を受ける安価な製品が米国市場に流入することを阻止する。 バイデン政権が検討している制裁関税の強化対象は他に、中国から輸入する電池や太陽光発電設備、重要鉱物など。バイデン政権は産業育成を図る立場からＥＶを特に重視しており、現行の税率２５％を１００％程度に大幅引き上げする方針だ。 現行税率でもすでに中国企業の米ＥＶ市場参入は難しいが、欧州市場に安価な中国製ＥＶが流入していることなどから、政権内だけでなく野党の共和党からも懸念の声が上がっていた。 制裁関税の強化は、不公正貿易とみなす相手国への一方的な制裁を認めた米通商法３０１条に基づく措置となる見込み。来週中にも発表するとみられている。米通商法３０１条を巡っては、２０１８年にトランプ前政権が中国からの輸入品に制裁関税を発動し、米中双方による関税引き上げ合戦へと発展した。