首位打者でムードメーカー 恐怖の8番打者の原点は、コロナに奪われた高3夏の悔しさ
高3夏の悔しさがあるから今がある
星稜高時代は1年の夏、2学年先輩の奥川恭伸(現・東京ヤクルトスワローズ)、山瀬慎之助(現・読売ジャイアンツ)らを擁したチームが夏の甲子園で準優勝を果たした。先輩たちの活躍をアルプススタンドから応援し、「自分もここでプレーし、先輩たちが果たしえなかった全国制覇を達成したい」との思いを強くした。 1年秋からレギュラーをつかみ、5番・レフトで秋の石川大会優勝、北信越大会優勝に貢献。明治神宮大会にも出場し、翌春にはセンバツ出場校に選ばれた。しかし、コロナ禍の影響で大会は中止に。夏の甲子園も中止となった。2年の秋は石川大会を制したが、北信越大会4強に終わり、翌春のセンバツ出場を逃す。最後のチャンスとなった3年の夏は石川大会8強まで進んだが、チーム内にコロナ感染者が出たため、準々決勝を出場辞退。目標にしていた『日本一』への挑戦機会を、コロナ禍に3度奪われた。卒業後は青山学院大学へ進み、高校時代果たしえなかった『日本一』の座を、ついに勝ち取った。 「高3夏の悔しさがあったからこそ今があると自分は思っています。星稜の同級生はみんな今、いろんなところで活躍しているんです」
星稜の同期と刺激し合いレベルアップ
「大学へ進んでも、また頑張ろう」 そう誓い合って同期はそれぞれの道へ歩みを進めた。日本大学へ進んだ内野手・谷端将伍(3年)、駒澤大学へ進んだ外野手・出村夢太(3年)らとは同じ東都1部リーグで顔を合わせるようになった。中でも最も刺激になっているのは、今春のリーグ戦で首位打者とベストナインを獲得した谷端の存在だ。 「星稜の同期は仲がよくて、谷端とはリーグ戦のあと一緒に食事に行ってバッティングのことなどをいろいろ聞けて刺激になりました。谷端に負けないようにと思って頑張って、今回は自分も首位打者を取りました。これで谷端に並ぶことが……いやいや、まだ並んでいないですね(苦笑)。秋、勝負できるように頑張りたいです」とライバルとの勝負に燃える。 目標にしている選手は大学の先輩である吉田正尚(現・レッドソックス)だ。「フルスイングから、しっかりとらえていくスタイルがすごいと思います。自分も吉田さんのような打者を目指していきたい。秋は自分の持ち味であるフルスイングをしつつ、コンタクト率を上げられるよう、夏の練習に取り組みます」。すでに視線は秋に向けている。
小川誠志