改元発表に沸く「平成」地区の一日――その裏にある地域の課題を見る
昨年の豪雨からの復興は道半ば
この地域は昨年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で被災した地域でもあります。台風や梅雨前線の影響で降り続いた大雨で、道の駅の前も流れる津保(つぼ)川が氾濫、死者1人、全壊14棟、床上浸水123棟などの被害が出ました。 平成地区から6キロほど離れた上之保(かみのほ)地区には、まだ壁にブルーシートを張った家や、浸水の跡を残したまま移転してしまった店舗もあります。この日の昼下がり、地元の建築業の男性が被災住宅の修理のため見回りに来ていました。 「ここはもう少ししたら元の住人が市営住宅から引っ越して戻ってくる家。でもあちらにはまったく空っぽになった家も。住宅の再建はまあまあのところまで来たけれど、街としてはどうなるか…」と声を落とします。改元については「ニュースでちらっと見たけれど、まだ意味はよく分からない」。 災害が多かったといわれる平成。とりわけ高齢化や過疎化の進む地域では、直接の被害はもちろん、被災後の生活再建やまちづくりにも苦難の大きいことがあらわになりました。 「起こってしまったものは仕方ない。でもこの地域では水害だけでなく地震も来ると言われる。ちょっとでも立て直して次に備えるしかないね」 男性はこう言って、また作業の準備に取りかかりました。 (関口威人/Newdra)