大の里 新大関Vへ薄氷星 2場所連続苦杯も平戸海を土俵際で逆転 二所ノ関親方は結果を評価「(初日は)勝つことが大事」
「大相撲九州場所・初日」(10日、福岡国際センター) 新大関大の里(24)=二所ノ関=は平幕平戸海(境川)を突き落として、白星発進を決めた。もろ差しを許して後退しながら土俵際で逆転。1909年の優勝制度導入以降9人目となる新大関優勝へ、薄氷を踏む勝利でスタートを切った。大関陣は琴桜(佐渡ケ嶽)が小結正代(時津風)、豊昇龍(立浪)が王鵬(大嶽)をそれぞれ退け、白星そろい踏みの滑り出しとなった。 驚異的なスピード出世を続けてきた新大関も、やはり人の子だった。重責を背負っての初日は、攻め込まれての逆転星。取組後の支度部屋では「ヒヤヒヤしたけど、また明日から集中して頑張りたい」と、硬い表情で言葉を連ねた。 鋭い踏み込みの平戸海にあっさりもろ差しを許し、瞬く間に土俵際へ。そこから素早く左に回って、俵に足をかけながら突き落とした。夏、名古屋と2場所連続で苦杯をなめた難敵を、反応の良さで何とか上回った。 場所前からポイントに挙げていたのが初日。名古屋場所は2連敗スタート、優勝した秋場所も初日は熱海富士をはたき込んだ辛勝だった。「先場所も初日にヒヤヒヤした相撲をとって、今場所もこういう相撲をとってしまった。初日の入りが課題かな」。反省が口を突いたが、勝った事実は大きい。新大関優勝を果たした過去8人は、全員が初日は白星。2006年夏場所の白鵬以来18年ぶりの快挙へ、最初のノルマはクリアした。 土俵下で勝負審判を務めた師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「だいぶ危ない一番だけど、まあ、よかった。常に完璧じゃないので。白星っていうのが一番。勝ちと負けでは全然違う」と結果を評価。八角理事長(元横綱北勝海)も「ぎこちなかった」と指摘しつつ「(初日は)勝つことが大事」と認めた。 注目を集めた大関初陣。父・知幸さんも花道脇のタマリ席で見守る中、土俵入りから大歓声を浴びながら、看板力士としての責任を果たした。「まずは15日間集中すること」と大の里。昇進伝達式で決意表明した『唯一無二の力士』へ、新たな一歩を踏み出した。