大津、ガンバ大阪ユースを相手に見事な逆転劇でサニックス杯V
「また準優勝で終わったら、ずっと優勝できなくなるぞ」 試合前、大津の山城朋大監督は選手たちにこんな言葉を掛けた。今から1ヶ月前に行われた九州新人大会。チームは決勝まで勝ち上がったが、神村学園に0-1で敗れた。「あの時の経験があったからこそ、ネガティブになりすぎることもなく、ポジティブに試合を進められた」とはキャプテンのCB五嶋夏生(2年)の言葉。「先制されて相手にボールを持たれる時間も長くて、展開的には厳しかった」という状況でも、最後までタフに戦い続け、見事な逆転劇で頂点に立った。 【フォトギャラリー】 大津vsガンバ大阪ユース 3月17日に行われたサニックス杯ユースサッカー大会2024の決勝。ガンバ大阪ユースと対戦した大津は序盤から相手の術中にハマる。雨の影響でスリッピーなグラウンドに手を焼き、思うようにボールを保持できない。G大阪に主導権を握られ、FW久永虎次郎(1年)とFW中積爲(1年)の前進をなかなか止められない。すると、5分に左SB加地莉比斗(2年)の左クロスからチャンスを作られる。ファーサイドに走り込んだ中積にヘディングで決められ、大津は開始早々にビハインドを背負った。 以降は最終ラインを高く保ち、前線との距離をコンパクトにして攻守が一体となった戦い方を見せる。前線からのプレスも怠らず、組織的な守備で相手のパス回しに対抗した。徐々にリズムを引き寄せると、24分にゴール前の混戦からFW山下景司(2年)右足で押し込んで同点に追い付く。 勢いづくと、28分にPKを獲得する。PA内でハンドの判定を受けて得たPKをFW山下景司(2年)が冷静に決め、一気に逆転に成功した。 1点リードで迎えた後半は相手の圧力に屈し、押し込まれる場面もあったが、五嶋とCB村上慶(1年)を軸に相手の攻撃を跳ね返していく。残り15分を切ってからは右SB松井イライジャ博登(2年)の攻め上がりにも苦戦し、ゴール前で耐える時間帯が続いた。それでもタフに戦い、リードを守り切った大津が凱歌をあげた。 1ヶ月前の反省を踏まえ、しっかり結果を残した大津。とりわけ、エースの山下は今大会8ゴールで得点王に輝いた。九州新人戦では決定機を決め切れず、敗戦の責任を背負い込んでいただけにサニックス杯でのパフォーマンスは賛辞に値する。「九州新人も九州男児でも準優勝で勝ち取れていなかったので、自分のゴールで勝たせられたのはチームとしても個人としても良かった」(山下)。エースの活躍で頂点に取った大津は自信を深め、4月のプレミアリーグ開幕に向けて調整を続けていく。 (文・写真=松尾祐希)