地方に住んで都会で働く「デュアルライフ」 長野で実現目指す集い
「これまでと違った働き方」考えたい
この後、参加者がそれぞれ自分の求める働き方を説明。リモートワークと出稼ぎの組み合わせ型や「リモートで月1回の出稼ぎがいい」など生活や仕事の実情に合わせた理想の勤務形態を述べました。週に3日、勤務先の仕事もしながら今年5月に長野県富士見町に移住した津田賀央さんは、地元富士見町のテレワーク(在宅勤務、モバイルワークなど)タウン計画もサポートしており、「30代後半のチャレンジとしてこれまでとは違った形の働き方を考えてみたい」と話しました。 こうした新しい働き方は、従来の社会通念からは理解されにくい面もあるため、参加者はデュアルライフ実現に向け「社会の協力態勢をどうつくるか」「交通費など経済的負担の対策を考える」の2テーマで検討。協力態勢では「フェイスブック、メディアなどを通じてアピールし、ネットワークを作り上げる」「雇用対策の側面から県など自治体の協力を得る」「デュアルライフに関心と理解のある企業を逆にこちらで募集する」などを列挙。また、地域のベンチャー企業のトップなど経済界の主要メンバーに集まってもらい理解を求めることも大切だということで一致しました。 交通費や宿泊費の問題では、「東京に通う者同士で連絡を取り合って1人の車に乗り合って行くのがいい」、「宿泊は、デュアルライフの仲間で一軒家を借り上げて毎月の家賃を分担すればいい」などのアイデアが相次いで出ていました。都内の宿泊の場合、1泊6000円以内に収めたいが、週2泊なら1か月では4万8000円の負担になる。それなら6人の仲間で毎月4万8000円ずつ出し合えば一軒家をシェアハウスとして借りる家賃が出るのではないかといった試算も注目されました。
会社内の公正性維持の面で障壁も
デュアルライフなどの働き方は、「地方の豊かな自然の中に住みながら東京の仕事を続けたい」といったライフスタイルの期待のほか、育児や介護を続けながら仕事を続けたいといった「生活と労働の新しい折り合い方」の試みでもあり、満員電車に揺られてタイムカードを押すといった従来の一般的な会社勤務とは大きく異なります。このため総務、人事部門からは社内の公平維持や規律の面で障壁が指摘されることも予想されます。 しかし、人口減少が進み、一方で周辺の事情で働きたくても働けない女性などもおり、「働き方の変化を柔軟に受け入れることで、元気な高齢者も含め埋もれている良質の労働力を確保することができるのではないか」といった意見が出ていました。また、「IT関連企業などのトップはこうした働き方について柔軟な考えを持つ人も多いから、期待はできる」との指摘もありました。 主催者のクリークスには、この集いを知った女性たちから「都合で長野には行けないが、ぜひ参加したかった」といった反響のメールが事前に多数寄せられている(古後さん)といい、新しい働き方を広げる運動は今後も注目されそうです。事務局ではデュアルライフの情報交換や仕事を希望する人のプロフィールの整理、企業情報の蓄積などに急ぎ取り組むことにしています。 (高越良一/ライター)