ながらスマホ、酒気帯び運転… 自転車の罰則強化 違反者、懲役・罰金の対象に
道交法改正に伴い、1日から自転車走行中のスマートフォンや携帯電話の使用(ながら運転)と酒気帯び運転の罰則が強化された。違反した場合、懲役や罰金の対象となる=表参照=。自転車利用者には学生や外国人労働者も多く、関係機関は危険性の理解と改正ルールの浸透を急いでいる。 「自転車に乗りながらスマホを触っている人をよく見かける。歩きスマホも多いし、みんな避けないから危ない」 長崎市本尾町の女性(73)は、日常的に運転中の「ながらスマホ」を目にするという。日々の移動には「ママチャリ」を使い、ニュースで知った法改正を自分ごととして受け止める。これまで運転している際に「ぶつかる!」と恐怖を感じた場面はないというが、「都会だけの話ではない。長崎も利用者は少なくないと思うし、事故の危険は十分にある」と自らに言い聞かせるように話した。 一方、市内の男子大学生(21)は「運転中にスマホで時間を確認することはよくあるし、危ないと感じたことはない」。飲み会後、友人と別れたら「押していた自転車に乗って家まで帰ることもある」と明かす。福岡県で過ごした自身の高校時代と比較し、長崎は自転車の取り締まりが緩いイメージがあるとした。 長崎県警は、自転車利用者向けに交通安全教室を開いたり、街頭でチラシを配布したりしながら地道に呼びかけている。 ◇ 今回の法改正は酒気帯び運転だけでなく、ほう助への罰則も整備され、酒類提供者には2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。 だが、県内の居酒屋など酒類提供側は「知らなかった」というところが多く、改正内容の浸透はこれからの様子。大学キャンパスに近い長崎市の居酒屋では、10月下旬に「自転車のスマホ・酒気帯び 罰則強化」と大きく書かれたチラシを店内の入り口付近に貼り、注意喚起を始めた。 坂道が多い同市と異なり、平地が多い県央地区では中高生が通学で利用している。諫早市や大村市の県立高では今後、警察官を校内集会に招き、改正ルールを指導するなど生徒への周知を図るという。 ◇ 外国人労働者の多くも、生活の“足”として自転車を利用している。 10月下旬、技能実習生の受け入れ窓口となる諫早市の監理団体「西日本食品産業事業協同組合」。県内外の事業所への配属を控える実習生14人に対し、罰則強化について講習が開かれた。同組合によると、移動手段として全員が自転車を利用し、大半はスマホを所持。指導した同組合の副島智幸理事は「移動の時はスマホはポケット入れて絶対に見ないように」と語りかけた。 実習生らは店ではなく、家に集まってパーティーを開くことが多いといい、副島さんは「お酒を飲んだら乗ったら駄目。一緒にいた友だちがお酒を飲んで自転車で帰ったらあなたも捕まるかもしれない」と繰り返し説明。現在、同組合が管理する約1200人にも交流サイト(SNS)などを通じ、改正内容を伝えていくとしている。