今年の忘・新年会は開催するのか 再開の機運じわり 時代や実情に合わないと廃止した企業も
本年度に忘年会や新年会の実施を予定する県内企業は59・2%で、前年調査と比べて12・9ポイント上昇したことが東京商工リサーチ(東京)のまとめで分かった。新型コロナウイルス禍で長らく自粛が続いた風物詩を巡り、じわじわと再開の動きが出ている。 【図】忘年会、新年会を実施する予定の企業の都道府県別の割合
調査は108社を対象に10月上旬に実施。「コロナ禍前も今回も実施する」が43・5%、「コロナ禍前は実施せず、今回は実施する」が15・7%で計6割近くになった。前年は「緊急事態宣言」などの影響を加味した調査で設問は完全に一致しないが、開催するとの回答は着実に増加。一方、「コロナ禍前も今回も実施しない」は18・5%、「コロナ禍前は実施、今回は実施しない」は22・2%だった。
実施する理由(複数回答)は「従業員の親睦を図るため」が46・5%で最多。「従業員の士気向上のため」が31・3%で続いた。実施しない理由(同)は「開催ニーズが高くない」が41・6%、「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」も37・5%だった。
実施を予定する企業の都道府県別で、長野は16番目に高い。首位は沖縄県の78・7%で、最も低い埼玉県は41・1%。東京商工リサーチ情報部は、沖縄では飲み会を通じた互助会文化が盛んで「酒席と人とのつながりが深い」と指摘した。日本海沿いの東北や北陸地方、九州地方でも開催を予定する割合が高かった。
社員同士の理解 業界や時代に合うのか 各社問い直す意義
新型コロナウイルスの5類移行後、初めての冬を迎えた県内企業は忘年会や新年会の意義を問い直している。社員同士の理解を深め、顧客と関係を築く練習の場―と評価する企業がある一方、業界の実情や時代に合わないとして廃止を決めた企業もある。
道路工事のワールド開発工業(長野市)は、4年ぶりに事業所ごとに忘年会を開く。コロナ禍に入社した社員にとって初の社内イベントで「楽しみにしている若手も多い」(企画管理部)とする。 伸び伸び働くために、社員がそれぞれの人となりを理解することが欠かせないとして「今の時代こそ、上司や部下の素が垣間見られる機会は大切」(同)。営業先との飲み会も多く、酒席に慣れる場としても期待しているという。
エフビー介護サービス(佐久市)は全社員対象の新年会を廃止した。例年100人規模で開き、優秀な営業所や施設を表彰するなどしていたが、インフルエンザなどの集団感染で業務に支障が出ることを懸念。高齢者らと接する職場だけに、役員は「今後の社会情勢も踏まえてリスクと判断した」とする。 年末年始が繁忙期の物流業界。南信の業者は、運転手の残業規制が強化される「物流の2024年問題」を控えてこの時期に人手がさらに足りなくなることを心配し、忘年会の廃止を決めた。