G20首脳宣言、「保護主義」反対は明記せず…ウクライナ情勢でもロシアの名指し避ける
【リオデジャネイロ=大月美佳、太田晶久】主要20か国・地域(G20)首脳会議が18日、ブラジルのリオデジャネイロで開幕し、首脳宣言を採択した。トランプ次期米大統領の返り咲きを前に、保護主義への対応が注目されたが、反対は明記しなかった。ウクライナ情勢を巡っても、侵略したロシアの名指しを避けた。
首脳らからは、トランプ氏が掲げる関税引き上げなど保護主義的な政策を警戒する声が出ていたが、宣言は、世界貿易機関(WTO)を中核とする「ルールに基づく、公正で、開かれた多角的貿易体制確保」の必要性に言及するにとどめた。
ウクライナ情勢では「人的被害や食料、エネルギー安全保障などに関する悪影響を強調する」と表明。イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザとレバノン情勢を巡っては、人道状況の悪化に深い懸念を示し、「包括的な停戦」を呼びかけた。紛争や戦争について「全ての国は領土獲得のための武力行使を控えなければならない」と記した。
人工知能(AI)については、「知的財産やプライバシーの尊重」、急速な発展を受けた「安全で信頼できる開発、導入の確保」の必要性を指摘した。偽情報拡散などのリスクを軽減するための「国際的な協力や議論の促進」も盛り込んだ。
石破首相は18日のG20首脳会議の会合で、ロシアの侵略を非難し、「国連安全保障理事会は現下の諸課題に対処できていない」として安保理改革や国連の機能強化が急務だと訴えた。