北鉄2期連続最終黒字 新幹線延伸で高速、貸し切りバス増
●奥能登ダイヤ需要含め協議 北陸鉄道(金沢市)が18日発表した2024年9月中間期の連結決算は増収で、営業、経常、最終の各利益は中間期で2期連続の黒字となった。北陸新幹線敦賀延伸に伴う在来特急の乗り換えや運賃の増加で名古屋方面の高速バス需要が伸び、観光客増加で貸し切りバスも堅調だった。地震や豪雨の被害を受けた奥能登の路線バスのダイヤについて、宮岸武司社長は「地元や石川県と協議し、移動の需要も含めて考えていく」と述べた。 昨年10月にバスや鉄道の運賃を引き上げたことも増収につながった。一方でコロナ禍で抑制していた設備投資を再開し、社員の給与を引き上げたことで、黒字は維持したものの、営業利益や最終利益は前年を下回った。 事業別の営業収益は本業の運輸業が前年同期比3・6%増の43億7700万円、レジャー・サービス業は5・4%増の15億5100万円、公共工事を受注した建設業は20・7%増の5億1400万円、賃貸業は2・0%増の1億5300万円だった。 運輸業の運賃収入は、乗り合いバスが能登地区の路線、特急バスがいずれも約3割減少した影響で前年比0・1%減の26億8600万円。高速バスは名古屋線が前年比約4割増と増加が目立ち、全体でも18・5%増の4億1千万円だった。鉄道事業も増収だったが、6300万円の赤字となった。 奥能登のバス運行は震災前の6~7割の水準にとどまり、宮岸社長は「現状では、道路の復旧状況をみながら少しずつ元に戻していくことになる」と述べた。通期の業績予想は、先行き不透明な状況が続くことから未定とした。 ●アイカ20年で記念イベント 北鉄は路線バスで利用できる交通系ICカード「ICa(アイカ)」について、サービス開始20周年となる12月1日にイベントを開催する。アイカ所有者限定でどらやきやグッズが当たる。 ●3年でコロナ前に 北鉄の宮岸社長は2期連続の中間黒字を確保したことに「お客さまや行政、関係者に深く感謝している」と頭を下げた。収益は依然としてコロナ前の水準に届かず、バスの運転手不足は深刻さを増しているが、「3年後までにコロナ前の数字にする」と力強く。