ヤクルト・青木 「1から2じゃないんだよ、何かを生み出すというのは」 0を100に変えた男
「ヤクルト5-3広島」(2日、神宮球場) ヤクルトの青木宣親外野手(42)が引退試合を行い、21年間のプロ野球人生に終止符を打った。1番・中堅で出場し、マルチ安打の活躍で有終の美を飾った。 【写真】石川とマウンドで抱き合う青木 もう涙が…止まらない ◇ ◇ 22年、日本シリーズ前の野手休養日。青木は誰もいないクラブハウスを訪れた。「体調を整えるための準備」。専念したのは治療だった。寒風の中、待ち続けること3時間。青木から「まだいたの!!」と声をかけられると、勇気を出した。 「先発機会が減っていく中で、悔しさもあるかと思います。どんな…」。質問意図を理解したベテランから米国での話を聞いた。「守備だけ、代走だけもあったんだよ」。振り返れば、日なたを歩くだけではなかった21年間なのかもしれない。 今年からヤクルト担当に復帰した2月。座右の銘を尋ねると、1カ月間の熟考時間を求められた。「どうせなら最近大事にしている言葉を、と思ってね」。昔から大事にする反骨心ではなく、「今」を大事にすることが青木らしいと感じた。 0to1。 熱く「1から2じゃないんだよ、何かを生み出すというのは」と説いた。0から始まった勝負の一年。悔いなく向き合い続け、壁に直面するたびに努力で道を切り開いてきた。0を100に変えた男。仲間が涙し、ファンが惜しむこの日の光景が、青木の歩んできた道の答えだと思った。(デイリースポーツ・松井美里)