加賀藩の偉業に思いはせ 黒部で「愛本刎橋」展 26日から一般公開
加賀藩5代藩主前田綱紀の命を受け、黒部川の急流に架けられた特殊工法木造橋「愛本刎橋(あいもとはねばし)」の特別展開会式は25日、黒部市うなづき友学館で行われ、関係者が江戸期に8回行われた架け替えについて記された古文書を通じて加賀藩の偉業に思いをはせた。26日から一般公開される。 歴史民俗資料館特別展「驚異の名橋 愛本刎橋」は▽古文書から読み解く▽紀行と伝承▽図面に見る匠の技▽高度な技術―の4テーマで構成した。古文書は安永、天保、文久の架け替えに着目し、伊東文書(県立図書館蔵)を中心に工事遂行の実態に迫る史料をそろえた。 安永の架け替えの際は当初、近郷の村々からスギ、ケヤキを集める予定だったが、工期を早めるためか急きょ法福寺から用材を確保したこと、当初は黒部川扇状地で賄っていた用材も後期には新川郡全域が調達範囲となったことが分かる。 古文書を解読した「黒部の古文書を読む会」の飯村滋会長が解説し、法福寺が提供した用材の代金として記された36貫目は「現代の価値では米価換算だと約3400万円、賃金換算だと約1億6千万円と見込まれる」とし、同様の橋を今造った場合の材料費より格安ではないかと推測した。 飯村会長は「旅人や地元住民、参勤交代のため、加賀藩が藩を挙げて技術のすべてをつぎ込んだ」とその技術の高さ、優れた組織体制を注目点に挙げた。武隈義一市長、高野早苗市議会議長があいさつした。特別展は11月24日まで。