「大阪維新」対「非大阪維新」保守層には悩ましい選択か
「国政は自民・地方政治は大阪維新」の政党複数支持案も
保守層の投票行動は単純ではない。「私は保守ですが、今回は大阪維新候補に投票します」と切り出すのは50代女性。「自民支持者のひとりですが、政策実行の動きの鈍い大阪自民は評価できかねます。その点、大阪維新は安倍首相と気脈が通じ合うところがあるので、大阪の政治は実行力のある大阪維新にまかせたい」との考えからだ。自民と大阪維新に分け隔てなく期待感をにじませる。 「国政選挙は自民、地方選挙は維新に投票する」と明言するのは、大阪維新登場前は自民だけを支持していた50代男性。「大阪の立て直しは力仕事だから、実行力のある大阪維新がふさわしい。有権者が国政と地方政治で支持政党を使い分ける大阪独自の政党選択スタイルがあってもいいのではないか」と問題提起する。支持政党をひとつにしぼらない「政党複数支持」時代の到来か。 5歳児を子育て中の40代女性は、これまで選挙のたびに政策で候補者を選んで投票してきた。最近、ふるさとの大阪へ戻ってきたのを契機に、「大阪を子どもたちが暮らしやすいまちに変えてほしい。教育重視の改革力に魅力を感じて、大阪維新に投票します」と話す。「橋下さんはせっかちだったので、これからは粘り強く話し合うようにしてほしい」と、改善点の指摘も忘れない。 30代男性は大阪維新候補を支持する一方で、「安倍首相のビジョンに共感するところがある」と自民の基本政策に一定の理解を示す。「大阪維新に望むのは大阪ダブル選で勝ったうえで、まずは国政選挙で野党第一党になること。自民と組むかどうかは、それから考えればいい」と、二段構えの展望を語る。ダブル選で大阪維新を推すとともに、将来の自民と大阪維新の連立政権も視野に入れているようだ。
経済界は「どちらが勝ってもノーサイドで大阪再生を」
両陣営の激しい舌戦が展開される中、選挙後も両陣営のしこりが残りかねない。一部の保守層からは「自民と大阪維新の候補を、一本化できたらベストだったのに」との統一候補願望も、漏れ伝わってきた。 大阪の経済界では経済振興強化を求める声が日増しに高まる。財界人のひとりは「選挙が終われば、ノーサイド。どちらの陣営の候補が勝っても互いに歩み寄り、芽吹き始めた大阪再生のチャンスを、しっかり実らせる政策を進めてほしい」と注文を出す。 さまざまな思いが交錯する中、大阪の保守層は「究極の二択」に臨む。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)