ジュウザよ「人と一緒じゃなくて目立て。ピッチャーは孤独だから群れるな」巨人ドラ4、父の教え胸に「1年目からやってやろう」
巨人からドラフト4位で指名された石田充冴(じゅうざ)投手(18)=北星学園大付=が20日、“戸郷ロード”を歩み、最多勝を目標に掲げた。札幌市内のホテルで契約金4000万円、年俸600万円(金額はいずれも推定)で仮契約。背番号「90」に決まり「1年目からやってやろうって気持ちになっています」と意欲を燃やした。来季、高卒新人投手で1年目から1軍登板を果たせば球団では19年の戸郷以来、6年ぶり。192センチの長身に無限大のポテンシャルを秘める右腕が、出世街道を走り抜ける。 巨人の若きエースの足跡をたどる。石田が大きな目標を掲げた。「戸郷選手のような球界を代表するような投手になりたい。先発ローテに入って最多勝を取れるような投手になりたい。1年目からやってやろうっていう気持ちになっています」。仮契約を終え、「90番」の背番号を提示された右腕は、巨人のエースと同じ高卒下位指名の入団からの成り上がりを誓った。 最速149キロの直球を投じる右腕の可能性は無限大だ。18年ドラフト6位で入団した戸郷も、当初はじっくりファームで育てる方針だったが、予想を上回る成長速度でルーキーだった19年9月21日、リーグ優勝がかかるDeNA戦(横浜)でプロ初登板初先発。2年目に9勝(6敗)と飛躍した。水野スカウト部長は「無理をさせない球団方針もありますので、選手の成長度合いを考えながら」と体づくり中心の1年目を描きつつ「(戸郷のように1年目からの飛躍も)もちろんありますね」と期待した。石田も「戸郷選手はあの力感で150キロを投げたり、困った場面でも直球、フォークで押せる」と憧れの存在であることを明かす。 大谷級の成長も期待する。身長192センチ、87キロの体格は、高校時代の大谷(193センチ、86キロ)とほぼ同じ。水野スカウト部長は「身長を生かして大谷選手のような(スケールの)大きなピッチャーになってほしい。高校時代の大谷選手も当時はまだ体が細かった。石田選手も自分の体にあったトレーニングを見つけて憧れから現実に変わっていける」と夢を膨らませる。右腕も将来的には「球速160キロ」を目標に掲げ「自分も大谷選手に憧れて野球をやっていたので遠い存在ですけど、一歩ずつ近づけていけたら」。現在は「札幌にイチローさんがよくやっているトレーニングの施設があると知って」と初動負荷トレーニングを開始。出力と柔軟性を兼ね備える体づくりに取り組んでいる。 仮契約に同席した両親が大好きという人気漫画「北斗の拳」に登場する「雲のジュウザ」から名付けられた。「父には『人と一緒じゃなくて目立て。ピッチャーは孤独だから群れるな』と言われてきたので、印象に残る選手になりたい」。ジュウザの拳のように、測ることが難しいくらいの潜在能力を1日でも早く開花させる。(水上 智恵) ◆戸郷の1年目 18年ドラフト6位で巨人入団し、19年の春季キャンプは3軍スタート。3月下旬に2軍戦で公式戦初登板初勝利を挙げるなど、2軍では先発8試合を含む11試合で4勝1敗、防御率3・00。9月21日のDeNA戦(横浜)でプロ初登板初先発し、4回2/3を4安打2失点で降板。勝ち負けは付かなかったが、チームは同戦でリーグVを決めた。同27日の同戦(東京D)では5回からの4イニングを2安打無失点、7奪三振と好投して球団の高卒新人では17年ぶりとなる勝利を挙げた。この年、1軍では2試合に登板して1勝、防御率2・08。 ◆石田 充冴(いしだ・じゅうざ)2006年7月21日、北海道・旭川市生まれ。18歳。小学1年から啓明ライオンズで野球を始める。中学時代は巨人育成の千葉と同じ旭川北陵シニアでプレー。北星学園大付では1年秋からベンチ入り。2年時に全道大会に出場。甲子園出場経験はなし。持ち球は直球、スライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ。192センチ、87キロ。右投右打。
報知新聞社