【2024“荒れた都知事選”】「現場は大混乱、振り回されました」…区選管が感じた異常事態
投票所の開設や票の集計、住民からの問い合わせや苦情など、実務的な作業を行うのは都の選挙管理委員会ではなく市や区などの選挙管理委員会です。 「現場は大混乱、振り回されました」 そう語るのは23区のある区の選挙管理委員会の関係者。告示日から投票日までの17日間、現場では今までにない様々な混乱が生じたと言います。区の選挙管理委員会関係者の本音を取材しました。 (報道局 調査報道班 川崎正明)
■56人のポスター掲示・・・ベニヤ板がない!
事前に設置した掲示板に候補者のポスターを貼ることができるのは最大で48人。今回は56人が立候補し、掲示枠が足りなくなるという前代未聞の事態となりました。追加分の候補者に対してはクリアファイルを配布し、掲示枠の外側にポスターを貼ってもらうという対応を取りました。実務を担う区の選管担当者はこのように語りました。 A区の選管担当者 「当初、都の選管上層部は掲示板が足りているという認識でした。掲示板を増設する、増設しないの判断があまりにも遅かったのです。49人以降どうするのか、各区はみんな悩んでいました。情報が全く出て来なかったのです。結局、クリアフィルを使って枠外に増設する事は報道で知りました。都選管と区の選管との信頼関係が崩れてしまいました」 B区の選管担当者 「追加分の増設方法が事前にわからず、報道で増設することを知ったのです。 連絡もなかったのは課題です」
■“ポスターの苦情対応”に追われる日々
ポスター掲示版には候補者と全く関係のない人物や動物などの写真が貼られ、告示日にはほぼ裸の女性の写真も貼られる事態となりました。住民からの苦情電話を受けるのも現場の担当者。 A区の選管担当者 「今までは、投票所の場所や時間についての問い合わせがほとんどでしたが、苦情の電話がかかるようになりました。『このままにしていいのか』『すぐに撤去しろ』『許していいのか』『子どもが怖がっている』『教育上よくないだろう』など、通常の問い合わせと違い、5分から10分にもわたってお叱りを受けるのです。区役所に直接苦情を言いに来た方もおられました」 また、56人もの候補者が立候補したことで、こんな想定外のトラブルも。 A区の選管担当者 「一部の候補者のポスターは四方全部をのりでとめていないため、角の部分が剥がれてしまうトラブルがありました。そのたびに確認に行き報告を上げなければなりませんでした」 B区の選管担当者 「(49番以降の)クリアファイルのポスターは雨で地面に落ちたり、『ポスターが取れそうだ』との連絡をもらい、その度に対応しなければなりませんでした」 複数の区の選管担当者に話を聞いて共通していたことは「都の選管の調整不足、対応が遅い」ということでした。 これについて東京都の選挙管理委員会は「全体の業務量に対して少ない人員で対応している状態でした。選挙が終わった直後で全体の整理はこれから行う段階です。対応が遅かったなどについて今、お答えする材料がありません」と語りました。 来年には参議院選挙があるほか、衆議院の解散総選挙もいつ行われるかわかりません。候補者が前例のないほど乱立したり、候補者らの言動に有権者が戸惑ったりするような事態となった際、できるだけ整然とした選挙の環境を整えることができるか。選挙管理委員会にも重い課題が突きつけられています。 ●2024“荒れた都知事選” 過去最多となる56人が立候補した2024年の東京都知事選挙。日本テレビ報道局調査報道班は、"荒れた都知事選"をいろいろな側面から徹底取材しています。
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