『おむすび』結の結婚はどうなる!? 翔也(佐野勇斗)が「米田姓を名乗りたい」と願った理由
2025年が明けて新章が始まった連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)。今週放送中の第14週「結婚って何なん?」では、結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)が結婚を決意。祖父・永吉(松平健)と祖母・佳代(宮崎美子)もアシストするために糸島から神戸までやってきた。 【写真】米田家に乗り込んできた幸子 結と翔也は米田家の面々に結婚の許しを乞うが、愛子(麻生久美子)は「今の状態なら賛成しない」、聖人(北村有起哉)は「これからのことをきちんと話し合って、ちゃんと説明できるようになってから」と釘を刺す。 1月7日放送の第67回では、結と結婚したら「新しい人生を始めるために」米田姓を名乗りたいという翔也の申し出をめぐって、米田家・四ツ木家にひと騒動が起こる。栃木から駆けつけた翔也の母・幸子(酒井若菜)は2人の結婚に大反対だ。 『おむすび』の現在の舞台は2009年だが、夫婦の「姓」の問題は2025年の今も現在進行形のトピックである。この作劇の意図について、制作統括の真鍋斎さんと、第14週の演出を担当した原田氷詩さんに話を聞いた。 ■「幸子が言った『なんか嫌』の一言に尽きるのでは」 「67回で起こった米田家と四ツ木家の議論は、今まさに日本中でおこなわれていることなんじゃないかと思うんです」と語る真鍋さん。 続けて、「『おむすび』は登場人物の日常や、とりとめもない会話を大事にしていて、米田家の面々が『家族で与太話をする』ということがとても豊かなコミュニケーションであるのだと示してきました。選択的夫婦別姓制度の議論がなかなか進まない昨今ですが、拳を振り上げて何かを叫ぶというよりは、結婚にまつわる家族の心配事のひとつとして、『それぞれの立場』『それぞれの主張』を見せています。結局この議論というのは、幸子(酒井若菜)が言った『なんか嫌』の一言に尽きるのではないでしょうか。『なんだか嫌だ』と思う人がいる一方で、『夫婦同姓制度は許せない』『いや残すべきだ』と、理念が先立つ人もいる。『おむすび』ならではのアプローチです」とコメントした。 演出を担当した原田さんは第67回の『家族会議』のシーンについて、「各人の考えをぶつけ合うというよりは、『米田家・四ツ木家それぞれにいろんな考え方がある』と見せていくのが、とても『おむすび』らしいと感じました。結と翔也の結婚をめぐって、幸子には幸子の、聖人には聖人の、愛子には愛子の、歩には歩の考えがある。それを大事にして撮りました」と振りかえった。 また、「米田姓を名乗りたい」という翔也の動機について、原田さんは「14週の他のシーンも含めて佐野勇斗さんと話したのですが、翔也はとても素直な人なので、彼が言った『しっくりこねえ』という台詞そのままだと思うんです。ただ、本人は野球について吹っ切れているつもりでも、無意識下ではまだ吹っ切れていない。その思いはありながら、翔也が米田家と幸子の前で思いを語るシーンでは、『無意識の部分』はまだ出ていないという演出にしました」とコメント。 加えて真鍋さんは、「翔也のなかに『自分を変えないと』という思いはあるにしろ、『苗字が変わればすっきりするんじゃないか』というピュアな動機なのだと思います。先のことはわからないし、失敗するかもしれないけれど、『今このときに俺はこう思う』という気持ちを大事にして、とりあえずやってみる人なんでしょうね」と語った。 明日放送の第68回では、結と翔也が結婚に向けてある決意をする。ふたりの奮励努力を見守りたい。 取材・文/佐野華英