吉田鋼太郎、『おっさんずラブ』スタートから8年で“多様性”への意識「180度違う」
■多様性への意識「ドラマスタート当時と今の見方は180度違う」
――2016年に単発ドラマとしてスタートした「おっさんずラブ」シリーズ。当時と比べて、世の中のジェンダーや多様性に対する意識は大きく変わってきています。本作に出演していく中で、吉田さんご自身の意識に変化はありますか? 吉田:最初の単発ドラマの脚本もらったときは「斬新なドラマだな」と驚いた記憶があります。8年経った今は、世の中がとてつもなく変化をして、自分の考え方自体も180度変わったなと感じます。 ――「BL(ボーイズラブ)ドラマ」というジャンルも確立した中で、パイオニア的作品である「おっさんずラブ」のメインキャストとして出演している上での意識はいかがですか? 吉田:僕らは(本作が)“ボーイズラブだ”という意識は特にないんです。それよりも、ちゃんと誰かのことを好きになって、それによって苦しんだり、幸せな気持ちになったり、切なくなったり……ということがベースとしてきっちり描かれているドラマ。必ず軸はそこで、そこを頼りにして芝居をしているので、それが男女の恋愛か男同士の恋愛かというのはあまり関係ないですね。 ――前作よりも、春田と牧のカップルがより自然な存在として描かれているように感じました。 吉田:世の中で(男性カップル自体が)自然な存在になっているから、ドラマもそう感じるんじゃないですか?
■仕事への原動力は“娘” 家では「でれでれ。甘やかし放題(笑)」
――春田のために武蔵は今作も大奮闘しますが、吉田さんにとってお仕事に向かう原動力は? 吉田:やっぱり2歳半になる娘ですね。この子のために頑張んなきゃっていうことは思います。 ――お家ではどんなパパですか? 吉田:でれでれもいいとこですねえ。甘やかし放題(笑)。いっぱい遊んでます。 ――では、武蔵にとってのライバル・牧のように、吉田さんが刺激を受ける存在はいらっしゃいますか? 吉田:この作品に入って改めて思うけど、田中圭はすごいですね。やっぱり春田こと田中圭あっての「おっさんずラブ」だっていう感じが改めてします。 ――田中圭さんの俳優としての魅力とはどんな点でしょうか? 吉田:「春田」っていう役とよくぞ巡り合ったなと。そしてああいうキャラクターを構成、創造したなと。どうやって作ったのこの役?っていう。多分彼は、何か意識して作ったんじゃないと思うんだけど。その場その場の思い付きで……でも唯一無二。俳優にとって、「この役ならこの人」みたいなキャラクターには生涯でなかなか巡り合えない。それを見事に田中圭は作り上げている。春田は田中圭にしかできないと思いますよ。 ――そんな田中圭さん演じる春田の、今作ならではの魅力はどんなところでしょうか。 吉田:やっぱり春田がどっかちょっと鈍感で。「武蔵はもう自分への気持ちは諦めて整理できていて、自分のことは好きじゃない」と信じ込んでいる春田。それがもう見てて腹が立ちますね。(武蔵の気持ちに)まったく気づいてない春田っていうのが……そしてずっと牧のことばっかり考えている春田っていうのが。「ああ、やっぱり春田ってこういう人なんだな~」って思います。 ――最後に、吉田さんの2024年の抱負を伺えますか? 吉田:抱負は……もうね、年も取ってきているので、健康第一。それだけですね。 (取材・文:小島萌寧 写真:高野広美) 金曜ナイトドラマ『おっさんずラブ‐リターンズ‐』は、テレビ朝日系にて毎週金曜23時15分放送(全9話 ※一部地域で放送時間が異なる)。