「老後資金4000万円」のニュースを見て驚きました。 55歳で「貯金500万円」しかありませんが、老後生活は諦めるしかないですか? 本当にそれだけ必要なのでしょうか?
あるテレビ番組の「老後は2000万円どころか4000万円不足する可能性がある」といった趣旨の発言が話題となり、2024年5月から6月頃にかけインターネットやSNSなどでは賛否両論が巻き起こりました。本記事では、老後資金として本当に4000万円以上貯める必要があるのか解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
老後4000万円問題とは何か
インターネットやSNSなどでは批判的な意見も多く出た「老後4000万円問題」ですが、これは2019年に話題となった「老後2000万円」問題に端を発しています。 金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書において、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの高齢無職世帯」の場合は毎月の赤字額が約5万円となる旨が記載されています。赤字額が毎月5万円となる場合は、金融資産から「20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」と発表されました。 これは大きな反響を呼び、国政でも取り上げられて批判の声も少なくありませんが、そのなかで出てきたのが「4000万円問題」です。 物価高や円安、社会保険料の負担増などで生活が苦しくなるなかで、番組のゲストから「仮に毎年3.5%の値上げが20年続くとすると、物価はほぼ2倍になるため2000万円なら4000万円準備しなければ厳しい」旨の発言があり話題となりました。
実質賃金と老後の生活費
実際に、実質賃金は下がり続けており、厚生労働省が発表している毎月勤労統計調査の2024年4月確報分によると、25ヶ月連続でマイナスとなっています。現金給与総額は伸びている一方で「焼け石に水」状態が続いているといえるでしょう。 「数千万円単位で不足する」などといわれると大きな不安に駆られるかもしれませんが、金額に一喜一憂する前に「そもそも老後はどのくらい生活費が発生するのか」を把握しておきましょう。 総務省統計局が公表している2023年度の家計調査報告によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の消費支出と非消費支出を合わせた金額は15万7673円です。「自分はぜいたくしないからお金がなくても問題ない」と考える人もいるかもしれませんが、特にぜいたくしなくても最低でも毎月15万円以上の支出が発生することが分かります。