ニューヨークでパレスチナ・イスラエル支持者が一触即発に…アメリカ社会でも緊張の度合い高まる
■イスラエルに次いでユダヤ人人口が多いニューヨーク…米国社会に緊張高まる
実はニューヨーク都市圏(ニュージャージー州、ペンシルベニア州を含む)には、イスラエルのテルアビブに次ぐ、およそ210万人のユダヤ人が居住していて、エルサレムの70万人よりも多い。ニューヨーク市当局は、抗議活動での不測の事態を警戒して、人が集まる場所や宗教施設では厳重な警備をしいている。 ユダヤ教にとっては、金曜の日没から土曜の日没までは安息日にあたるため、礼拝所(シナゴーグ)には多くのイスラエル系の人々が集まる。 我々は世界最大規模のシナゴーグの一つ、エマニュエル寺院の安息日礼拝を取材することができた。 夕方、セントラルパークに隣接するシナゴーグを訪れると、周辺はパトカーや警官で厳戒態勢となっていた。案内に従って中に入ると、荘厳な空間が広がる。両サイドはステンドグラスがはめられ、高い天井には意匠がこらされている。舞台の両脇にユダヤ教のラビ(宗教指導者)が説教を行う演台があり、下手側には、キーボード、バイオリンなどの楽器奏者がスタンバイしていた。 午後6時すぎから始まった安息日の礼拝では、ニューヨークのアダムズ市長が会衆を前にイスラエルとの連帯を表明し、集まった数百人が立ち上がって拍手を送り熱気に包まれた。 8人に1人がユダヤ系住民といわれるニューヨークでは、市長はその影響力を無視することはできず、連日イスラエル系のイベントに参加している。 礼拝の中盤には、ラビ(宗教指導者)が「ハマス」による攻撃を非難し、「イスラエルの攻撃は、報復ではなく自衛だ。それ以外の選択肢はない」と主張。会場からは大きな拍手が起こり、ハマスにとらえられている人質が解放されるように祈りがささげられた。
■イスラエルの祝日に攻撃…第四次中東戦争との共通点も
また、別のラビ(宗教指導者)は、今回のハマスによる攻撃は、今からちょうど50年前に起きた第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)と状況は酷似していると指摘した。 1973年10月、ユダヤ暦で「ヨム・キプール(贖罪の日)」として静まりかえるイスラエルにエジプトが奇襲攻撃を仕掛け、第四次中東戦争が始まった。2023年10月のハマスによる攻撃も、ユダヤの祝日に実行されたことから、第四次中東戦争当時に作曲された歌をラビが歌い、50年前と今の状況を重ねあわせて思いをはせる場面もあった。 礼拝に訪れたイスラエル系の人々は、「ハマスに捕らわれた人質の無条件解放を祈った」「反イスラエルデモが行われる中、歩き回るのが本当に怖いと初めて感じている」との思いを吐露した。 中東でのイスラエルと「ハマス」との衝突は、アメリカ社会に緊張をもたらしていて、不安定な日々が続いている。