千島連盟・脇理事長(全文3完) 領土返還「現住民追い出すことは望まない」
プーチン大統領の「引き分け」 島だけの問題ではないのでは
――やはり“今回”は進んでほしいですね。 「“今回”は、進んで。毎回、進んでほしいと思っているんですよ。そういう形で結果、期待だけで終わってしまったということがありましたけれど、今回だけは、先ほど言ったように、お互いの政権がある程度落ち着いているという状況もプラス要因としてあるのかなと。それとプーチン大統領も、今までのコメントに『引き分け』ということを言っているので、じゃあ『引き分け』って何だろうといったとき、お互いに勝たない、お互いに負けない、ってことでしょう。とすればどういう方法があるんだろうと。単純に、島だけの問題ではないのかなと思っています。」 「やはりわれわれは、あくまでも元島民の立場としては『四島一括返還してください』いうのは目標ですから。あくまでも、それでなくては絶対ダメだ、とは言い切れないですね。国と国との領土問題ですから。」
日ソ共同宣言(2島)の後のところに期待したい
――連盟の目標に近いところに、進展していくか、見守るということですか。 「60年の日ソ共同宣言というのがありましたね。返還して、その帰属の問題も含めながら、平和条約というその3つの大きなポイントがあった中で、そこはある程度約束していることですし、お互いの政府も批准していることですから、そこまではまず間違いないだろうと思いながら、じゃあその後は何があるんだろうというところで、われわれはそこを期待したい。」
次世代にバトンタッチする前に「1日でも1時間でも早い」解決を
――終戦時1万7000人いた元島民もいまでは6000人くらいです。島民2世、3世、4世となり、次の世代へバトンタッチできるように期待されている部分は。 「実はバトンタッチしないうちに解決しないでほしいと思っているんです、本来であれば。しかし、現状を見たときに、バトンタッチしないですむかと。だから、今回期待しているということはそういうことを含めてなんですよ。日一日一日と、元島民の数は減っていくわけですから。平均年齢81歳超えているっていう状況ですからね。やっぱり一日でも一時間でも早くっていうような思いでいるんです。」 「そうは言っても、現実、と言ったときに、実際に千島連盟でいろんな活動をしている中、署名活動をしたり、あるいは全国各地に赴いて元島民が語り部でいろんな状況を語ったり、そのほかにもいろいろ活動組織の運営をしていくことで、体力的にもう、かなり限界がきてるってとこですよね。そうすると勢い2世、3世にそういう活動も含めてお願いせざるを得ないっていう状況なんです。ゆだねざるをえないと。これが現実ですよね。現実でないっていうことで言えば、2世、3世にゆだねる前に解決して欲しいというのが正直なところです。」