「夫の氏」「妻の氏」を空欄に 婚姻届見本の見直し広がる 無意識のジェンダーバイアス助長に配慮 広島県内の自治体
広島県内の自治体で、婚姻届の記入例を示した見本の内容を見直す動きが広がっている。無意識のジェンダーバイアス(性別に基づく固定観念)を助長しないよう配慮した対応という。 【写真】呉市が内容を見直す前の婚姻届の記入例の見本。あらかじめ「夫の氏」の選択欄にチェックが付いていた 呉市は7日、婚姻後の夫妻が名乗る姓について、「夫の氏」の選択欄にあらかじめチェックを入れて例示した内容から、「夫の氏」「妻の氏」を空欄にし「いずれかにチェックをしてください」と説明する内容に変えた。 東広島市は9月、広島、三原、尾道、福山の各市は10月から同じ内容で変更。竹原市も同様の趣旨の内容にした。三次市と江田島市は検討中という。 法務省によると、見本の内容は各自治体の判断に任せているという。選択的夫婦別姓の実現に取り組む民間団体が全国の526自治体を調べたところ、2024年2月時点で夫の姓をチェックした内容にしている自治体が約9割だった。 日本は世界で唯一、婚姻後に夫婦が同じ姓を選ぶことが義務付けられている。同団体の担当者は「家父長制的な無意識の偏見が透けて見える。行政には表現の点検を進めてほしい」とする。
中国新聞社