ICAN創設メンバーが長崎訪問 被団協のノーベル平和賞受賞を祝福 「核廃絶へ目覚めさせる」
2017年にノーベル平和賞を受けた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)創設メンバーの1人で、オーストラリア在住のティム・ライトさん(39)が長崎市を訪れ、11日には長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)や原爆で被害を受けた城山小、山里小に足を運んだ。長崎被災協では田中重光会長(84)らと会い、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞を祝福。「受賞は核兵器廃絶へ世界を目覚めさせる呼びかけになる。二つの受賞団体が力を合わせていくことに大きな意義がある」と述べた。 ライトさんはICANで条約コーディネーターを務め、核兵器禁止条約の署名・批准の拡大に取り組む。今回の来日は、ICANと広島県が共催する若者の研修に講師として参加するため。長崎訪問は3度目という。 長崎被災協をICANの川崎哲・国際運営委員と共に訪ね、メリッサ・パーク事務局長からの「みなさんの努力と献身は、ICANをはじめとする世界中の個人や組織を励ましてきた。被団協のメッセージを広げるため、私たちもいっそう努力します」などとする手紙と花束を渡した。田中会長は「核兵器廃絶を世界中に広げていくため、一緒に進みたい」と応じた。 城山小は、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の中村桂子准教授らと共に訪問し、原爆が投下された時に在校児童だった池田松義さん(86)の案内で校内を歩いた。同校では当時約1500人いたとされる児童のうち約1400人が犠牲になった。池田さんは生き延びたものの、自分以外の家族を全て奪われたことを語った。 ICANは来年の被爆80年に向けて「原爆による子どもの犠牲」をテーマにしたプロジェクトを進めている。ライトさんは「私の子どもは、池田さんが被爆した年齢と同じ年頃。それを思うと心が痛む。戦争では、何の責任もない子どもが真っ先に犠牲になる」。池田さんは「『被爆から、もう80年』と言えるが、『まだ80年。1世紀もたっていない』とも言える。原爆についてよく知らない子どもが増えている。伝える活動を続けてほしい」と訴えた。