クルド人団体事務所周辺のデモ さいたま地裁が実施禁じる仮処分決定
在日クルド人らで作る「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)が、協会の事務所周辺で24日に予定されているデモは「ヘイトスピーチ」だとして差し止めを求めた仮処分申請で、さいたま地裁(市川多美子裁判長)は21日、デモを呼びかけた男性に実施を禁じる決定をした。 決定は、JR蕨駅近くの事務所の半径600メートル以内で、協会の名誉を毀損(きそん)したり、著しく侮辱したりする内容のデモやビラ配りなどをして業務を妨害することを禁止した。 申立書によると、神奈川県海老名市の男性らは今年2月から複数回、事務所周辺でデモを実施。「自爆テロを支援するクルド協会は、日本にいらない!」「根絶せよ!! クルド犯罪偽装難民」といった横断幕やプラカードを掲げたり、「クルド人は日本から出て行け」などと拡声機やマイクで訴えたりしていたという。 協会側は、こうしたデモは明白な名誉毀損行為で、クルド人を排除するようあおるヘイトスピーチだと指摘。今後も同様のデモが行われる可能性は高いと訴えていた。 特定の人種や民族を標的に差別をあおるヘイトスピーチをめぐっては、横浜地裁川崎支部が2016年に、在日コリアンへのヘイトスピーチデモを禁じる仮処分決定を出したほか、16~19年に大阪、東京両地裁でも同様の決定をしている。
朝日新聞社