[山口県]行方不明者の氏名など公表へ 県のサイト「防災やまぐち」捜索活動の効率化図る
山口県は29日、県が運用・管理している防災ポータルサイト「防災やまぐち」に、大規模災害が発生した際の行方不明者の氏名や住所、性別を公表できるようシステムを改修し、4月1日から運用していることを明らかにした。2021年7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害では、静岡県による不明者の氏名公表が迅速な生存確認につながったとされており、山口県も不明者の情報を広く県民に提供することで、捜索活動の効率化を図りたい考えだ。 防災やまぐちは17年4月に導入し、災害時の県内での被害や避難情報の発令状況、避難所の開設といった内容を掲載。県は昨年12月から今年3月にかけてシステムの機能改修を進め、不明者の氏名が公表できるようにした。 県は昨年5月、行方不明者などに関する氏名の公表方針を改正。公表基準について「救出・救助活動の円滑化・効率化が見込まれる」「本人または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがない」といった要件を設けており、公表の必要性が特に認められる場合は家族の同意なく知事の判断でできるとも規定されている。 県防災危機管理課によると、警察や消防、市民らから提供のあった情報を基に、市町が不明者の情報を精査。公表が必要と判断した場合、市町の担当者が県のシステム上に氏名や住所といった内容を入力し、県が承認すればサイトに反映される。市町担当者向けの研修を4月にオンラインで実施し、周知したという。 29日に県庁で県防災会議があり、担当者が概要を説明した。不明者の情報はサイト内の「被害状況」から確認できる予定で、同課は「不明者の氏名を公表することで被災者を早期に特定し、より効果的な救出・救助活動につなげたい」としている。