「中年太り」「糖尿病」とテストステロンの関係 新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師に聞く
【徹底解説 障害に克つ!男性更年期】 若い頃はスリムだったのに、中年期に入ると体重が増えて腹囲が膨らむことは珍しくない。厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」によれば、肥満の目安であるBMI(体重kg÷身長m2乗)「25以上」の男性の割合は33%。年齢別に見ると、20代が約29%であるのに対し、40代は約40%、50代は約39%と、40代や50代の割合が高くなっている。 【リストで見る】男性更年期障害の主な症状 この「中年太り」にも、男性ホルモンのテストステロン低下が関わっている。 「内臓脂肪が増えるとテストステロンが低下し、テストステロンが下がると内臓脂肪が増えるという『負のスパイラル』が臨床的に証明されています。メタボリックシンドロームとの関係が深いのです」 こう話すのは新古賀病院(福岡県久留米市)糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師。新古賀クリニック(同)で「男性更年期外来」を開設している。日本メンズヘルス医学会の理事で、『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』(医学図書出版)の作成委員でもある。 LOH症候群とは、男性更年期障害の医学用語だ。 「テストステロンの低下は、インスリン抵抗性の指標ととてもよく相関し、2型糖尿病の発症とも関連します。実際に2型糖尿病の患者さんのテストステロン値を測ると、低いことが多いのです」 インスリンは、血中の糖分を細胞の中に取り込むために必須のホルモンである。食後に血糖が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され、血中の糖が細胞に取り込まれ、その結果血糖値は正常値に戻る。インスリン抵抗性は、インスリンが分泌されても、細胞がうまくブドウ糖を取り込めず、血糖が下がりにくくなる病態であり、肥満者に多い。 近年、メタボに対する医療薬は躍進している。今年2月には保険適用のある新たな肥満治療薬が登場し、2型糖尿病の治療薬も続々登場している。 「確かに医療は進化していますが、メタボ診療の基本は食生活と運動習慣の見直しです。テストテロンが著明に低下した人には、補充療法も治療の選択肢になります」 食事と運動習慣体脂肪量減らす