オリックス・佐藤一磨、球団初の育成出身者の初登板勝利「全力で投げました!」父は道場六三郎さんの弟子 師匠から「頑張れよ」
(日本生命セ・パ交流戦、巨人1ー4オリックス、3回戦、オリックス3勝、9日、東京D)真新しい背番号93をつけたオリックスの5年目左腕・佐藤一磨投手(23)が球団初の育成枠出身のプロ初登板勝利を達成した。 【写真】初勝利を挙げたオリックス・佐藤一磨 「一人一人、必死で、全力で投げました!」 190センチの大型左腕。140キロ台後半の直球にカーブ、フォークなどの変化球を交えて巨人打線を翻弄した。3―0の四回には先頭の吉川に四球を与えたが、岡本和らを冷静に打ち取り、拳を握った。8日に支配下となり、この日は5回1安打無失点。2軍監督としてもプロ入りから見てきた中嶋監督は「本当によく投げた。それ以外にない」と感慨深げだった。 「ずっときつかった」。努力を重ねてきた。神奈川・横浜隼人高2年までは大学進学を希望。高校の野球部の監督になるのが夢だった。それでも素質を見抜いていた水谷哲也監督や父・大磨(だいま)さんらから「大学はいくつになっても行ける。プロの経験をしてからでも高校の監督になれる」と勧められ、プロを志すようになった。背番号001でスタート。鉄人からの激励が力になった。 神奈川・藤沢市内ですし店の「二代目笑楽」を経営する父は店を持つ前に、1993~99年に放送されたフジテレビ系の人気番組「料理の鉄人」に出演していた道場六三郎さんに弟子入り。5年間修行していた経歴を持つ。この日、スタンドで観戦していた父に巨匠は「頑張れよ」とメッセージを送った。それを〝受け取った〟23歳左腕はチームを5連勝に導いた。 「支配下になったからにはチームのために1勝でも多く貢献できるように」 ウイニングボールは両親にプレゼントした。一磨の名が示すように一にこだわる人生。研鑽(けんさん)を積み重ねて鉄人への道を歩んでいく。(織原祥平) ■佐藤 一磨(さとう・かずま) 2001(平成13)年4月16日生まれ、23歳。神奈川・藤沢市出身。藤沢市立大道小1年で「藤沢少年野球クラブ」で野球を始め、村岡中では「大和リトルシニア」でプレー。横浜隼人高では2年秋からエース。3年夏の神奈川県大会では3回戦敗退。甲子園出場はなし。190センチ、97キロ。左投げ左打ち。家族は両親と姉、妹。好きな言葉は「顔晴る(がんばる)」 ◆…佐藤の父・大磨さんと真理子さんは東京ドームで観戦し、初勝利を見届けた。経営するすし店を臨時休業にして応援した大磨さんは「できすぎでしょう。相手が菅野さんで、これだけの観衆の中で最高の結果を出したと思う」と喜びに浸った。元ラグビー選手で、愛息に対しては中学まで週2回の外食で〝英才食育〟。育成5年目でつかんだ初勝利に父は「指導者に恵まれている人生。本当にいろいろな方に目をかけてくれた」と感謝した。