苦戦の4年、集客7割 駅西のクロスゲート金沢 コロナ、地震…上がらぬ認知度
●今夏、空き区画に出店続く/5年目の巻き返しなるか コロナ禍に開業してから今月で丸4年となった金沢駅西の複合施設「クロスゲート金沢」の苦戦が続いている。運営するオリックス不動産(東京)によると、飲食店などがある商業エリアの来館者数は年間平均約138万人で、当初目標の7割にとどまる。今年も元日に地震が発生するなど「逆風」は強いままだ。ただ、夏を迎えて新規出店が相次ぎ、施設関係者は北陸新幹線が延伸して迎えた5年目での巻き返しを目指す。 クロスゲート金沢は、14階建てのホテル「ハイアットセントリック金沢」、15階建ての中長期滞在型ホテル「ハイアットハウス金沢」、1、2階に飲食店やスーパーなどが入る商業エリア、分譲マンションで構成される。新型コロナの影響で、2020年6月の開業時期を遅らせ、同8月1日にオープンした。 オリックス不動産によると、商業エリアの来館者数は開業1年目が140万人、2年目が120万人、3年目が140万人と伸び悩んだ。コロナが5類に移行された4年目は152万人に盛り返したが、当初思い描いた200万人に及ばなかった。 オリックスグループ広報の担当者は集客について「コロナ収束後に来館者が増える想定だったが、地震の影響もあって、なかなか厳しい状況だ」と話す。 ●区画2割が営業せず 商業エリアは全34区画あり、27区画にウナギ店やすし店、金沢おでん店、ハンバーガー店などが入る。一時は10区画ほどが営業しておらず、現在も全体の2割に相当する7区画が「休眠状態」だ。「当面休業」の貼り紙が半年以上出されたまま、次が決まらない区画もある。 空き区画について、テナントの関係者からは「退店時の高額な違約金など出店の際に決めた契約内容が厳しく、当面休業という形のままになっているのではないか」との声も漏れる。 ●「すし食いねぇ!」9月オープン 一方、今年は新規出店が続く。 飲食関係の店が並ぶところに、3月には能登半島地震で被災した和倉温泉の加賀屋による工芸品の物販店が開業。7月以降は出店が加速し、かき氷の期間限定店、韓国料理店、アサイーボウル専門店が次々と営業を始めた。 オリックスの広報担当者は「店舗の業種や業態の幅を広げたことが奏功している」とし、厨房設備を用意するサービスを取り入れさらに出店しやすい環境を整える。 オリックスによると、営業していない7区画のうち、既に契約済みで開業を待つ区画は二つ。このうち1区画は回転ずしの「すし食いねぇ!」で、9月のオープンを予定する。もう1区画も飲食店の9月下旬開業へ準備が進んでいる。 テナント関係者からは「地元客や観光客に、金沢駅西口(金沢港口)に商業施設があるという認知度が低い」という声がある一方で、オリックスの広報担当者は「空き区画の解消で徐々に活気が出ている。西口への回遊性や認知度のアップに努めたい」と話した。