“サメの街”宮城・気仙沼に「豪華フカヒレ丼」復活
全国の9割とサメの水揚げ日本一の宮城・気仙沼で、寿司店が「特大フカヒレ丼」の提供を始めた。被災地の「名物丼」では「南三陸キラキラ丼」が有名だが、匹敵する名物丼になるか注目される。フカヒレをめぐっては、ある化粧品会社による騒動がおきているが、地元では「フカヒレ以外にも、サメ全体を有効活用している」と「サメの街」をアピールする動きが出ている。
フカヒレ姿煮の大きさは、大人の握りこぶしより大きな約15センチ。周りには錦糸状のフカヒレも乗り、ご飯が見えないほどのボリューム感だ。中華のイメージがあるが、酢飯を使った和風どんぶりとなっている。 もう一つの特徴が「コラーゲンボール」。サメ肉のすり身にコリコリした軟骨の食感が楽しめる団子を、汁物などで提供する。コラーゲンは美容や健康に効果があるとされる。 実は「フカヒレ丼」は、震災前年の2010年7月に初めて提供し、評判を呼んだ。津波で各店舗は被災し、現在の寿司組合14店舗全ての営業が今年5月にようやく再開され、満を持しての復活となった。フカヒレの大きさを前回に比べて約1.5倍とした。 価格は5000円台を予定。「新富寿し」の鈴木真和さんは「2人で分けて食べてもいいし、寿司屋各店舗が味付けを変えているので、食べ比べも面白いはず。フカヒレを食べるワクワク感を伝えたい」と話している。
“サメの街”をアピール
化粧品販売のラッシュジャパンが8日まで、「残酷なフィニング反対キャンペーン」を行っている。「フィニング」とは、サメのヒレだけを切り取り、胴体は海に捨てる方法。ラッシュは「気仙沼市ではフィニングの事実はないことを認識」としているが、市内の水産関係者に波紋が広がっている。
気仙沼はサメ水揚げ日本一を誇るが、知名度は高くない。水揚げされたサメはそのまま全国に流通され、昔は管理体制も不十分で「サメは臭い」という印象もあった。寿司店にフカヒレを供給する中華高橋水産の畠山清さんは「フカヒレは気仙沼の強み。地元でフカヒレが食べられる店が広がるのは地域に根づくきっかけになる。サメ全体を有効活用していることを、もっとアピールしていきたい」と話す。 4月に震災の復旧工事を終えて再開した「シャークミュージアム」では、気仙沼のサメの歴史を展示している。水産関係者や飲食店、自治体などが一緒になってサメの魅力を伝える活動も動き始めている。