松本幸四郎&市川染五郎が刀に込めた想い『鬼平犯科帳 血闘』公開記念舞台挨拶で殺陣シーンのこだわりを告白!
映画『鬼平犯科帳 決闘』(公開中)の公開記念舞台挨拶が5月10日、丸の内ピカデリーにて開催され、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎、中村ゆり、中島瑠菜、北村有起哉、柄本明、山下智彦監督が登壇。新たな鬼平の魅力、京都での撮影時のエピソードなどを語った。 【写真を見る】新たな『鬼平』で親子共演!殺陣シーンでのこだわりを語った松本幸四郎&市川染五郎 池波正太郎生誕100年を記念し、ドラマ版に続き劇場版が公開となった「鬼平犯科帳」。鬼平こと長谷川平蔵を演じた主演の幸四郎は、「新たな鬼平をご覧いただく“場”ができたことを心からうれしく思います」と会場を見渡し笑顔。若き日の鬼平、長谷川銕三郎を演じた染五郎は、1月に放送されたドラマ「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」はじっくりとテレビでストーリーを楽しむのがおすすめ、劇場版の本作は映画館でスケールを堪能できると、それぞれの魅力をアピールした。 ひとりばたらきの老盗賊、鷺原の九平役の柄本は「時代劇は日本の文化。待ちに待った『鬼平』を映画発祥の地、京都で撮影できるのがうれしくてたまりません!」と感激の様子。幸四郎が鬼平を演じると知ったときは「鬼平ファンなので本当にうれしくて。この映画はヒットしなければいけません。家に帰ったら、いろいろなところに電話をかけて、宣伝をどうぞよろしくお願いいたします」と熱く語り、大きな拍手を浴びていた。 “鬼平の宿敵”網切の甚五郎役の北村は、「おじいちゃん子で『水戸黄門』『大岡越前』『江戸を斬る』といった時代劇をずっと再放送で観てきました。なかでも『鬼平』が大好きなので、(中村)吉右衛門さんが亡くなったときは、今後(鬼平は)どうなるのかと不安を抱えたファンのひとりです。幸四郎さんがやると聞いて、ホッとした途端の甚五郎のオファーで出演し、こうしてお客さんが(劇場に)入っていただくのを目にして、うれしく思っています」と時代劇への憧れを熱弁。続けて「数年前、『アベンジャーズ』のキャッチコピーで『日本よ、これが映画だ!』というのがあったけれど、僕は『日本よ、世界よ、これが時代劇だ!』と言いたいです」と宣言。控えめに言ってもそれくらい胸を張れる作品だと強調する北村に、会場に集まった時代劇ファンから大きな拍手が贈られた。 「京都という場所での京都のスタッフの方とのお仕事は、やっぱり特別だし、(京都で)作っていかないといけないなと思います」と語った柄本。作品を作ってきた方々の歴史があり、それはなににも代え難い。世界一の職人たちが作る作品、それが時代劇とも話していた。次世代を担う俳優として京都での撮影をどのように感じたのかという質問に染五郎は「10年前に撮影所に行ったことがあるのですが、その時とは違うメンバーなのに『おかえりなさい』っていう雰囲気がある。みんなが同じ方向に向かって作っている感じがあるし、そういう環境でお芝居ができたのは幸せです」とニッコリ。若き日のおまさ役を演じた中島は「京都の撮影所は初めてでしたが、凛とした、澄んだ空気を感じました。背筋がピンとするいい緊張感もあり、先輩方の演技も(近くで)見させていただいて、すごいなーって思いました」と充実感を漂わせた。 新しい『鬼平』の見どころは「照明」と答えた染五郎は「個人的には照明が素敵だと思いました。映像の美しさや美しさは、若い方が観ても新鮮に映るんじゃないかな」とおすすめ。中島は「ストーリー、人の思いなどは現代にも通ずるものがある。時代劇は難しそうという先入観を捨てて、まずは一度観て欲しいです。風景が素敵だし、殺陣がすごくかっこいいとか、発見があると思います!」と若い世代にも時代劇を鑑賞して欲しいと呼びかけていた。 おまさ役の中村は「ものすごいプレッシャーを感じていましたが、新しいおまさを構築してくださればいいと監督がおっしゃってくださって。幸四郎さんもたくさんアドバイスしてくださったし、京都のスタッフさんは割とはっきり(意見を)言ってくださるので、いろいろな意見を伺いながらおまさが出来上がっていきました」と役作りを振り返る。同じく役作りについて質問された染五郎は本作の見どころとなる殺陣のシーンを挙げ、「意地でも刀を抜かないで戦うのが銕三郎らしさ」と話し、アドレナリンが出た状態の銕三郎をキープするため、撮影の合間も座らないで殺陣のシーンの撮影に挑んだと明かしていた。 父の幸四郎は、鬼と化した平蔵の殺陣のシーンについて、「一手一手に意味がある。会話をしているような感じ。刀をただ振り回すだけじゃない。ひとつひとつに想いを込めて。最後は鬼になっていき、決して一歩も引かずに前に進んでいく。そういう想い刀に込めた殺陣にしようと思いました」と殺陣に込めた想いを語り、「ジャンルは時代劇ですが、人と人のつながり、絆を描いた人間ドラマです。いまだからこそ、たくさんの方に観ていただきたいです」と新たな『鬼平』の鑑賞を呼びかけていた。 取材・文/タナカシノブ